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8/3(土)

高校生の集団の中に1人だけ混ざるなんて嫌だと全力拒否をしてきたマイマイを、1人は宗平狙いだからすぐ宗平と2人きりになるために別行動をし出すだろうし、そうなったら残るのは大学3年のマイマイ、大学1年の女の子、高校1年の俺だけだからむしろ異質になるのは俺だ!大丈夫だ!と必死に説得してなんとか連れ出した。 少し心が痛むが、なんとかして8月13日、マイマイに長岡をオトしてもらわないと俺の強姦被害延長が確定してしまうので俺だって必死だ。 「お待たせ宗平!えーっとこの人が…」 駅に着くと券売機横に宗平がいたので足早に近付き、マイマイを紹介しようとする。しかし俺が言うより先にマイマイがにっこり笑って1歩前に出た。 「はじめまして。舞山って言います。なんか今日はお邪魔しちゃってごめんね。」 さすがマイマイ。他の人を前にしたらきちんと態度を切り替えてくれるなんて…なんというか大人だ。 マイマイと挨拶を交わした宗平と共に3人でホームに降りて定刻通りにやってきた電車に乗り込んだ。 優奈ちゃんが乗り込んでくるのはここから5つ離れた大学近くの駅。 花火大会が行われるのはそこから更に8程離れた駅近くにある河川敷で、結構な規模の祭りのためかなり混雑するようだ。 同じく花火に行くのであろう祭り着の人たちに目を向け3人で言葉を交わしていると宗平のスマホが震えた。 「優奈ちゃんからだ。『何号車に乗ってる?』…ってここ何号車だ?」 なんとなくホームを歩いてきてしまったので乗り込む時全く見ていなかった。 えー、と言いながら辺りをきょろきょろするとマイマイが宗平に声をかける。 「一緒に行く子…優奈ちゃん…って言うの?」 その顔は少し引き攣っていてなんだか焦っているように見える。 不審そうにしながら「そうですけど…」と答えた宗平の背を、外を見ていた俺がバシバシと叩くことで会話に割り込んだ。 「宗平!駅着いちまったよ!」 宗平は「え!?」と言いながらホームとスマホとを交互に見て急いで返信をしようとするが、まだ自分たちが何号車にいるのか分からない。 「あ!優奈ちゃん!」 ホームに立つ優奈ちゃんが見えたが俺らの乗る車両より後ろの車両の列に並んでいたようでその影は虚しく通り過ぎていった。 諦めたようにスマホをポケットにしまい「とりあえず俺らが車両移動しようぜ。」と宗平が言ったのでそれに頷き、マイマイを後方に誘導しようと腕を掴むが、それは緩い力で払われてしまった。 車両が停止した揺れにより解けてしまったのかと思って振り向くと、そこには顔を青くしたマイマイ。 「ごめん。今日…行けない…。」 蚊の鳴くような声でそう言うと驚く俺を置き去りにマイマイは電車を降りてしまった。 「え、ちょっ…マイマイ!」 マイマイを追いかけ電車を降りようとした俺の手を宗平が掴む。 「おい、春人!」 宗平の顔を立てるなら俺はここで降りるべきではない…が、発車ベルが聞こえたのと同時に宗平の腕を払って電車を降りる。 「春人!」 「悪い!今度埋め合わせするから!」 俺が降りたすぐ後に閉まるドア。 優奈ちゃんは…きっと宗平がいれば満足だろうし、優奈ちゃんが連れてくるという子に関しては本当に申し訳ないが、名前も顔も知らない子より目の前にいるマイマイの方が今の俺には大切だ。 マイマイが少し気分が悪いだけならきっと後で合流も出来るだろうと宗平に謝るジェスチャーをしてから、ベンチで項垂れるマイマイを見つけ駆け寄った。 隣に来た俺を一瞥するとマイマイは「ばかだな。春人は。」と小さく笑った。

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