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9/7(土) from宗平

珍しく瑛二や春人抜きで会えないかと光汰に誘われたので待ち合わせ場所にしたファミレスに向かう。 光汰は既に着いていて1人でメニューを眺めていた。 声をかけて向かいの席に座ると光汰が普段よりずっとオシャレをして少し緊張した顔をしていることに気付く。 「この後里沙ちゃんと会うのか?」 極自然な会話のつもりで尋ね、メニューを開き待つが一向に返事はこない。 不審に思って顔を上げると視線のみを机に向けて背筋を伸ばしている光汰。 「お…俺ね。告白!しようと…思う…んだ。」 「おぉ。この後すんの?頑張れよ!」 漸くか、という気もしたが学内でどんな子がいても勇気が出ず話しかけられないまま終わっていた光汰が告白しようと意気込んでいる姿はやはり応援したくなり、少し前のめりになる。 別に俺に告白する訳でもないのにガッチガチな光汰はコクン、と1度頷くと俯いたまま見上げるように俺に視線を寄越す。 「そ…それでさ…告白…って…どうやるの…?」 「……?」 聞かれた意味が分からなくて半笑いのような顔をして首を傾げてしまう。 「だから…そのー…タイミングとかー、セリフとか…」 あぁ。なるほど。 だから交際経験の無い瑛二や…未だに問題を抱えた付き合いを続ける春人ではなく俺が呼ばれたのか。 しかし俺も告白されたことしかないのであまり参考にはならないだろうな、と思いながらドリンクとポテトを頼んで光汰に向き直る。 「とりあえず落ち着いた雰囲気になったとこで言えばいんじゃねーの。」 「落ち着いたって…落ち着けないよ!好きな人と一緒にいるのに…落ち着けないよ!」 少し迷った後、当たり障りのない返しをした俺に迫力のある表情だが周りに気を遣ったのか小声で光汰が言う。 そう言われても本当に言えることが無いのだから仕方がない。 過去に付き合った2人とのはじまりをなんとか思い出そうとするが詳細なんて覚えていない。タイミングだってあちらとしては1番良い時を読んで伝えてくれたのだろうが、その前後がどうであったかなど俺の記憶にはあまり無い。 そう思ってありのままを伝えると光汰は不思議そうな顔をする。 「いや。前に宗ちゃん、好きな人と付き合いたいって言ってたから…。俺だったら好きな人に告白されたら嬉しくてその時のこと何度も思い出しちゃうなーって。」 そう言われてみればそうだな、と顎に手をやり考える。 嬉しさで記憶が飛んでる?あの時の俺はそんなに浮かれていたのだろうか? それとも前の彼女に告白されたのはもう1年以上も前の事だし単に記憶が薄れているのか? そう考えていると光汰が更に質問をしてきた。 「あの…告白…のセリフはどうすれば良いかなー…。」 「そんなん『好きです。付き合ってください。』一択だろ。」 「うう〜!恥ずかしいよ〜!」 何言ってんだ、と呆れるが、光汰もハッキリと伝えなければいけないという自覚はあるようで「でも言わないとダメだよね。『好きです。』って?無理ー!」と言いながらソファーの上でのたうち回っている。 その間、ウェイトレスが引き攣った笑顔で光汰を見てから料理を置いて去っていった。 「そういえば里沙ちゃんのストーカーの件はどうなった?」 そう尋ねてみたら光汰はピタリと動きを止めて体を起こした。

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