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9/25(水)

カラカラコロコロ…と音を立てながら廃棄分の机を壊して作ったレールやら定規の上を転がっていくパチンコ玉。 カンッ…コロロロ… 予定していたコースを外れ床に落ちてしまったそれを見てクラスメイトのほとんどが「あぁぁー!」と声をあげる。 「このまま本番も1回も上手くいかなかったらどうなるんだ?」 「まぁそれはそれでおもしろいよな。こういうのって見てんの自体が楽しくね?」 こんなに難しいとは思わなくて提案したことを申し訳なく思い、隣で同じくパチンコ玉の行方を見守っていた宗平に尋ねると当然のように同意を求める回答をされた。 なるほど。そういう考え方。 「あ、それ重いだろ。俺やるよ。」 レールを運ぼうと手をかけていた女の子にすかさず声をかけ前に出る宗平。 少しはにかんだ顔で礼を言うその子に笑いかけて置き場所の指示を仰ぐその姿を見て、そりゃモテますよね、と心の中で呟く。 光汰や瑛二の話では、宗平は勘はアホみたいに悪いが自分が役に立てそうな場面には敏感で、そして自分の力を提供することに躊躇が無いらしい。確かに光汰が川に飛び込んだ時の振り子の発案やコントロール、ボウリングでアドバイスをくれた姿はそれらに該当するかもしれない。 あと俺を笑顔にしてくれるのも… なーんて…。 そんなことを考えていたらレールの一部を手に宗平が戻ってきた。 「じゃ、俺らはあっちでやろうぜ。」 「え?」 何の話かと聞くと木材の色付け作業をやることになっていたろうと返された。 そういえばクラスメイトの1人が試しに1回パチンコ玉を流してみようと言い出すまではそんな話で今日は動いていたなぁと思い出す。 「俺スプレー缶の匂い嫌いー。」 「シンナーだからね。はい。付けときな。」 顔を顰める光汰に瑛二がすかさずマスクを渡す。 光汰と言えば… 「そうだ光汰。里沙ちゃんさ…」 そう里沙ちゃんの名前を出した途端、溶けたのかと思う勢いで目尻を下げて「え?あぁ。里沙?うん。俺の彼女ね。うん。里沙が何?」と返してくる光汰。 どうしよう。ぶん殴りたい。 付き合いだしたのだと今月の初旬に報告されたのだが、里沙ちゃんの話題を出すだけでニヤけだす光汰の態度は今日も変わらない。 「あー…。里沙ちゃん文化祭見に来んのかなって思って…。」 「なに春人。里沙狙いなの!?悪いけど里沙にとっては春人はもう過去の男だからねー!」 ぶっ飛ばすぞ。まじで。 と、思っていたら瑛二が横から光汰の頭を思いっきり引っぱたく。 そして「幸せアピールも良いけど聞かされてる相手の気持ちも考えなよ。」と怒りだす。 素直に瑛二の話を聞く光汰は本当に瑛二の子供のようだ。 たっぷり叱ってやってください。お母さん!

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