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9/28(土)

今日は文化祭初日。 と言っても昨日の夕方から前夜祭があり、ダンスを踊ったりなんだりしたのだが…まぁ例の如く俺は揺れる海藻のように端っこでもだもだしてるだけで終わったので割愛。 今日から一般公開が始まり大勢の保護者や他校生が学校を訪れていて、正門から校舎へと続く道や体育館向かいには出し物である屋台が数多く並んでいる。 俺らのクラスは出し物が出し物だけに15分に1回パチンコ玉を流し、終わったらそれを再組み立てするだけなので当日の当番は極小人数でまわすことになっている。一応2日間でクラス全員が当番を担当するような割振りになっているので俺らの当番は明日のみだ。 だから今日は1日フリー。どこに行くかと宗平に尋ねると意外な答えが返ってきた。 「え…」 「いやだから、これからバスケ部の方の出し物で1on1やり行くから。」 なんだそれ!宗平と一緒に回れないなんて聞いてない! 「光汰と瑛二がいるじゃん。」 「宗平いないと寂しいじゃん。」 むくれる俺を諭してきた宗平に対して同じような語尾にして返すと宗平は困ったような顔をしたが、ツボったのか…隠すように翳された手の隙間から見えた口角は小さく上がっていた。 「あー…じゃあ1on1見に来るか?……本当はまぁなんて言うか、あんま見に来てほしくなかったんだけど…。」 その口篭るような言い方が少し気になって強い対戦相手なのか問うと「それもあるけど…」と言ったきり黙ってしまった。 まぁよく分からないが宗平の対戦している姿を見に行けるのは嬉しいので言いにくそうにしている宗平にゲームの時間を確認して、後で光汰と瑛二と3人で見に行くと伝え見送った。 「宗ちゃん無しの俺らだけですんませんねー。」 宗平とのやり取りを見ていたらしい光汰が教室から顔を覗かせ言ってくる。 「なんだよ。里沙ちゃんが来る日に当番になっちゃったからって俺に当たんなよ。」 光汰は前から里沙ちゃんと文化祭を回るのを楽しみにしていたのだが、里沙ちゃんが来る日に当番として1時間ほど抜けなければならなくなってしまったため、昨日の当番決め以降ずっと不機嫌な様子だ。 「そーじゃないけどー。なんて言うかね、君ら付き合いたてのカップルみたいな空気出すのやめてもらいますー?うざいんで。」 ブーメラン刺さってますよ。光汰さん。 まぁそれは良いとして、なんだ。カップルって。 納得いかない表情の俺に光汰が続ける。 「普通友達に『寂しい…傍にいて…』なんて言います!?言いませんよ!!」 「俺も言ってねーよ。」 「言ってたの!あれはもうそういう空気!宗ちゃんも春人のこと…あ痛ぁぁっ!!」 まだまだ言いたいことがあった様子の光汰の頭をお決まりのように瑛二が引っぱたいた。 「里沙さんと回れないからって他の人に当たらない!」 「でもだって俺がこんななのに目の前でイチャイチャされたらさー…」 「春人、イチャイチャしてたの?」 瑛二から向けられた視線に呆れたように首を振ると、瑛二はまた光汰を怒りだす。 そうして暫く絞られてすっかり消沈気味になった光汰に瑛二が飲み物を差し出す。まさに飴と鞭。 「あー…あのさ。宗平が1on1やるらしくて、もうすぐ始まるみたいなんだけど行かね?」 そう2人に切り出すが、瑛二には「ルールが分からないと面白くないことがこの間分かった。」と言われ、光汰には「お腹すいたから8組のやってる喫茶店に行きたい。」と断られてしまった…。 薄情な奴らめ。 仕方ないので1人、宗平の応援をしに体育館へと向かった。

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