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9/28(土) 3

どちらが勝つのか最後まで分からなかったと、皆が口を揃えて言っていた。一進一退。どちらも互いに譲らないその空気は観客達の空気までも変えていて、俺も周りと同じように点が入る度に叫び、点が入れられてはまた叫んでいた。 宗平を探してキョロキョロと辺りを見渡す。 ゲーム直後の宗平は女の子たちに囲まれてしまっていてとても声を掛けられる状況ではなかったので、喉が乾いているだろうと思い、俺は先に飲み物を買いに行っていた。 着替えのために1度部室に戻るのでその後で部室棟横で落ち合おうという話になっていたのだが…飲み物を両手に戻ってみるとそこには誰の姿も無かった。 飲み物を買いに行った時に自販機をやめて少し高い他クラスの出し物を選んでしまったのが間違いだったのかもしれない。混んでいた上に慣れない作業に手間取る彼らから商品を受け取るまでは15分も掛かってしまっていた。 待たせすぎたせいで校舎に戻ってしまったのだろうか…。やはり屋台の列へ並んだことが…いや、でも列へ並んだ時の俺はどうしても「悪魔のチョコマンゴーバナナスムージー」が飲みたかったんだ…。 どうしようかと考え、とりあえずメールを打つため飲み物を置ける場所はないかと視線を動かしていると俺の手がいきなり後ろから掴まれてそのまま上へと引き上げられる。 驚いて振り向くとそこには勝手に飲み物を飲む長岡がいた。 「う"っえ…甘っ!春人これまさか笠井にやるつもりだったんじゃねえだろうな?」 勝手に飲まれた上、文句を言われる。もう片方の手に持った俺の分を指して確認してきた長岡は中身が同じだと知ると「お前アホだろ。」と言って呆れたように俺を見る。そして自身のカバンから飲み物を取り出すとそれを口直しとでも言うかのように飲み出した。 自分のあるなら最初っからそれ飲めよ!お前が口付けたこれどうすんだ! 納得いかない顔で見つめていた俺に気づいた長岡は笑いながら「お前が飲めばいいじゃん。」と飄々と言ってくる。誰が飲むか。 「しっかし笠井には飲み物まで買ってきてやんのかよ。俺も疲れてんだけどなー。」 「…さっき自分の飲んでたろ。」 「お前がなんかくれんの期待してたんだけど。」 何が起こったって俺が長岡に差し入れをやるなんて…ありえねぇ…。 「なぁ。俺勝ったんだけど。」 「あぁ、そうだな。お疲れ。」 そう。先程のゲームはこちらにまで2人の気迫が伝わってくるようなすごい接戦だったのだが、終了間際になって宗平に疲れが見え始め、宗平は最後の1点を守りきれずに負けてしまった。 「ははっ。俺にも一応"お疲れ"とか言ってくれんだな。」 長岡の言葉にハッとして少し恥ずかしいような悔しいような気持ちになる。なんで俺は毎回こうなんだ。

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