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9/29(日) 3
「見てこれ。優奈が懐かしい写真送ってくれたの。」
そう言ってマイマイが見せてくれたのは高校の入学式らしき雰囲気のマイマイと1人の青年、そしてセーラー服を来た優奈ちゃんの3人が映った写真だった。
マイマイの隣で笑う青年が恐らくマイマイの好きだったという彼のようだが…高校1年生の時点ですごく背が高いことが写真からでも伺える。
もしかしてマイマイが高身長好きだったのはこういうことだったのか?
よし、この流れでフォーリンラブ計画の話をしよう!
「わぁー!この人がマイマイの好きな人ですか?すごく背が高いですねー!あ!背が高いといえば長岡なんですがー…んぐっ」
「わざとらしい。」
声を張り上げた俺の口にマイマイが話してるうちに冷えきってしまったたこ焼きを突っ込み、そう一言言う。
「計画のことでしょ?ちゃんと分かってるよ。裕大くんがゲイだったら…アタシも攻めてって良いかなって、まだ思ってるから…。」
「!マイマイ…!」
「でも裕大くんがアンタのこと好きなんだろうなってうちは一切手出ししないから。」
そう言い出したマイマイに一気にテンションが下がる。そんな…仮に片思いだったならそこは自分に振り向かせる努力くらいしても良いのではないだろうか…。
もしかしてマイマイは自分が告白したばっかりに優奈ちゃんと彼氏が別れてしまったことから、自分の告白が告白された当人以外にも影響を及ぼすことを恐れるようになってしまったのかもしれない。それならばもう俺があまり強く言うべきではないことは明らかだ…。
「まぁ詳細はまた今度話しましょ。」
そう言われ、たこ焼きも食べ終わったので教室を出て2人で校内を見て回っていると光汰と里沙ちゃんに会った。
「あ、春人ー。宗ちゃんね、無理だった。むしろどんどん落ち込んでってて…あれはやばいね。」
光汰から悲しくなるような一言。先程より状態が悪化しているらしいことを知り、宗平の居場所を尋ねるが「さぁー?瑛二んとこ行ったんかな?とりあえず俺はデート中だからさー。」と呑気な返しをされた。
「…マイマイ。俺、宗平のこと探したいんですが…。」
「もしかしたら優奈と一緒にいるかもしれないし俺も探すよ。優奈もさっきから全然ライン見てくんないんだ。」
そうして2人で宗平と優奈ちゃんを探しに歩きだし、程なくして中庭のベンチに腰掛ける宗平を発見した。
「…どした?」
駆け寄ってきた俺に宗平がそう聞いてきて俺は足を止めた。
確かに俺、宗平のところに来て何がしたかったんだ…。
焦って何も答えられない俺をマイマイが「バカ」と言って小突いてきたので言い返したくなったが、この状況は本当にちょっとバカかもしれない。
「えええっと…さっき食べたたこ焼きがすんごいおいしくて、宗平にも食べて貰いたかったんだけど買ってくるの忘れちゃって!ちょっと買ってくるからここで待っててくれ!」
そう言って一旦体制を立て直そうとマイマイの腕を掴み、その場を離れる。
「ちょっ…なんでアタシまで…。」
「相談!相談乗ってください!まじで!あぁいうのどうしたら良いか俺わかんないんです!」
マイマイとそう小声で会話しながらその場を後にする。
しかし俺は、宗平もまたその場を立ち去っていくのを、見ていなかった…。
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