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10/4(金) 2 from宗平

春人と気まずいまま金曜を迎えてしまった。 2人だけでいることはもう完全に無くなって、光汰や瑛二に話を振られた時だけ軽く言葉を交わす。 だが正直俺はもう春人の姿を見るのだってキツくて仕方がなかったから、挨拶1つにも神経をすり減らしている。 原因は当然後夜祭の日の出来事と…春人の首に付けられた真新しい痕。 俺とあんなことがあったのに春人は全然普通なんだな。 俺と春人の間にある感情の温度差を自覚してまた胸が苦しくなる。普段のものと比べると格段に小さいそれは、シャツから覗くことはほとんど無かったが、それでも初めて見つけてしまった時の衝撃は今も言葉にできない…。 「宗ちゃん。今更何があったかなんてだいたい想像できるから聞かないけどねー。普通に戻る努力はした方が良いと思うよー。俺は。」 部活終わりの俺を待っていたらしい光汰が、強引に連れてきたファミレスの中でハンバーグを切り分けながら言う。 「え…何があったか分かんのか?」 「告白したんでしょ?春人に。」 そう答えた光汰に驚いて口を開く。 「してねぇよ。なんで春人に。」 「だって好きなんじゃないの?」 眉を寄せて答えてきた光汰に俺は更に驚く。 「いや、俺も春人も男なんだけど。」 そう答えると光汰は「恋愛が異性同士だけのものじゃないのは()()()の件で知ってるじゃんー。」と言ってくる。誰だ、茉莉香って。 「あ、ごめん。茉莉香は里沙のストーカーだった子ね。里沙と付き合いだしてからは減ったけど今もたまに会うんだよー。ちなみにストーカーは完全に卒業したから安心してー。」 そう答えた光汰に若干顔を引き攣らせる。 元カノと今カレが会ってるとかすげぇシュール…。 茉莉香さんの恋愛対象が女性だとしても彼氏が女の子と2人で会ってるのを良く思う人はいないんじゃないだろうか。 まぁ今はそんな話をしているんじゃないからとりあえず置いておくが。 「同性同士で付き合うことがあるのは俺も分かってるよ…。」 じゃなきゃ春人の"相手"が裕大だの舞山さんだのなんてそもそも考えついたりしない。 同性同士での付き合いなどありえないものだと思わないのはきっと…里沙ちゃんと茉莉香さんの話を聞いたり、光汰から茉莉香さんのことを聞いていたからだろう。 「でも俺は春人のことを友達として好きなだけで恋愛対象として好きな訳じゃねぇよ。」 そうだ…俺はきっと春人の1番の理解者でいたかったんだ。どこか脆そうで目が離せない春人を、1番に支えてやれる存在に。 実際は…春人は俺を理解者にしてくれるどころか信じてもくれない様子だったが…。 「『親友と恋人の境界なんて曖昧』って茉莉香が言ってたよ。異性だったら境界を越えられやすいだけだって。」 「じゃあその境界を越えるものってのは何なんだよ。」 眉をひそめてそう尋ねると光汰は周りを1度見て少し頭を下げる。…なんだ? 「その…ヤれるかどうか…らしいよ。」 ぶはっと飲んでたドリンクを吐き出しそうになり急いで手を当てるが…若干零してしまった。…汚い…。 しかしまさか光汰からそんな言葉を聞かされる日が来るなんて…。 2つ年上で経験もまぁ光汰よりはあるんだろうが…茉莉香さん、あんた光汰になんてこと言ってんだ…。

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