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◀◀9/28(土) from宗平

文化祭初日。 バスケ部の方の出し物で1on1をやりに行くのだと言うと春人は明らかに落ち込んだ表情を見せる。 俺と居られないことを残念に思ってもらえるのが嬉しくて持ち上がりそうになる口角を堪えて、光汰と瑛二がいるだろうと言うが、春人はそれに対して「宗平いないと寂しいじゃん。」と言ってきた。 その言葉にいよいよ堪えきれなくなって笑ってしまった口元を、慌てて隠す。 「あー…じゃあ1on1見に来るか?」 俺より春人に近い場所にいる裕大が、春人と一緒にいるのを見たくなくて隠していた今日のゲーム。 でもそんな言葉を言われては、例えコートと観客席という離れた場所とは言え空間だけでも共有したいと思ってしまう。 「本当はまぁなんて言うか、あんま見に来てほしくなかったんだけど…。」 ちょっと含みを持たせて付け足すと、春人は当然だが不思議そうな顔をして理由を尋ねてきた。 だが疑問を持たせるような言葉で話をしたのは自分なのに、その問いには答えない。 …何がしたいんだろ、俺。 とりあえず終了後の待ち合わせ場所を部室棟横に指定してその場を離れる。 部室棟横は部室棟自体が敷地の外れという立地のため普段から人がいることなどほぼ無い隠れた場所だし、今日のように更に人が増える時でも問題なく落ち合えるだろうと考えてのこと。教室は3階なので論外。部室前は…裕大と春人が顔を合わせてしまうかもしれないと思って候補から外した。 部室に着くと中で既に着替えをしていた裕大がこちらにチラリと一度視線をやる。 「笠井と1on1できるとか、楽しみだな。」 着替える手を止めずにそう言ってきた裕大。 「嬉しいこと言ってくれんじゃん。がっかりさせねーように頑張るわ。」 俺も言葉軽く返して着替えを始める。 本当は、春人の前で惨敗する姿なんて見せたくないから結構真剣に作戦を練ってるんだけど。 共に体育館に入って先輩たちのゲームを見届けてから俺たちもコートに入る。 春人はどこだろうと辺りを見回し観客席の入口近い場所にその姿を見つけることができたが、春人の視線は既に違う所にあった。 視線の先にいた存在――…裕大が春人にニコリと笑いかけ、それを見た俺の胸にはまた重いものが沈んでいく。 ほら、だから来てほしくなかったんだ。 裕大を見ていた春人はその後すぐ俺に気付いて焦ったように笑う。 俺の前では取り繕っているのを嫌でも感じて俺は視線を外した。 そして必死になって喰らいついたはずのゲームも結局勝てなくて、落ち込む俺は終了後に声をかけてきた女の子たちに囲まれて春人とは言葉も交わせないまま。しかも着替えて部室を出た途端に出待ちの子に強引に中庭へと連れてかれてしまったのだからもう踏んだり蹴ったりだ。 俺の待ち合わせ場所はすぐそこなのに…。 その子からは軽く話をした後に告白もされたのだが、俺は一刻も早く戻りたくて折角勇気を出して言ってくれただろうそれを結構適当にあしらってしまった。 でも俺にはそんなの気にしてる余裕はなくて、急いで部室棟に戻る。すると微かな話し声が脇から聞こえてきた。

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