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◀◀9/29(日) from宗平

春人と裕大のことが気になって仕方がない。 何かあるとは思っていたけど、まさか裕大が"相手"だったのか?だがそうだとするなら舞山さんは…? 春人が当番であるからと教室に戻ったので瑛二がいる書道部の展示室に来た。 瑛二は午前中に当番を終えており、光汰は今日は1日里沙ちゃんと共に時間を過ごすので、俺は1人、椅子を借りて瑛二の横に腰掛け展示作品をぼんやりと眺めていた。 「昨日から元気ないけどなんかあったの?」 「んー…。やっぱ1on1負けたことがショックで。暫くしたら回復するから放っといていーよ。」 尋ねてきた瑛二に適当に理由を見繕って返すと特に疑問に思わなかったらしい瑛二は一言「分かった。」と言う。 「でも春人の前であんまそういう顔しない方が良いんじゃない?春人ってなんとかしてやりたくなっちゃうタイプだろうから。」 俺の目を見てそう言ってきた瑛二に苛立つ。 そんな事、俺だって分かってる。 それに今は他のどんな人にだって春人を語られたくなかった。 普段であればこんなことで絶対イラつかないし、これが俺や春人を思っての瑛二からのアドバイスだというのは理解できるのに怒りにも似た感情が募っていく。 「俺、教室戻るわ。」 来たばかりなのに帰ろうとする俺に、瑛二は心配そうな目を向けてきたが、瑛二と話を続けたら俺は見たくもない自分の醜さに否が応でも向き合うことになりそうだったので逃げるように教室を後にした。 当然こんな逆立った感情のまま春人に会えるはずもないから、瑛二には教室に戻ると言ったものの適当に校舎内を歩き回り、チームメイトや他クラスの女の子に話しかけられたりしながら時間を潰す。 そうして春人と顔を合わせる前になんとか落ち着きを取り戻せた俺は、戻った教室の前でまた衝撃を受けさせられる。 教室前の廊下の壁を背に、舞山さんが、なぜか優奈ちゃんとそこに立っていた。 『付き合いだしたんだし、誘ったんかなーって』 以前に春人が言っていた言葉を思い出す。 舞山さんがここにいる理由なんて…春人以外にあるはずが無い。 「ごめん。俺ちょっとこの後舞山さんとご飯食べたりしてくるから…宗平が当番終わっても一緒に回れないかも。」 そう言ってきた春人に「あぁ。」と一言返して黙る。 春人は俺の態度が気になった風であったが光汰に何かを耳打ちしてチラリと俺を見た後に舞山さん1人を連れてその場を離れていった。 残された優奈ちゃんが声をかけてきたので言葉少なく近況を報告し合うと、会話の中で「舞山さんと優奈ちゃんが付き合っているのかも」という考えをあっさり否定された。 てことはやっぱり舞山さんが春人の彼氏ってことで確定だろ。これは。 だが触れ合いそうなほどに近かった裕大と春人の唇。 舞山さんが彼氏で、裕大はセフレ?でも春人がセフレなど持つような人に見えないという印象は今だって変わらない。2股?いや、それこそ春人の印象と異なる。 考えを纏められないまま当番を終えると「とりあえず落ち着ける場所を」と思って昨日も訪れた中庭へと向かう。 取り囲む校舎から全校制作の巨大ちぎり絵がそれぞれ垂れ下がっている中庭は、それらが良く見えるようにという配慮で特に屋台などの出店がないため人通りが少ない。 暫くぼぉっとしていると春人が舞山さんと共に現れた。 「…どした?」 きっと春人のことだからやっぱり俺を放っておけなくて来てくれたのだろうが、意地悪くそう尋ねてみると春人は駆け寄ってくる足を止めて固まった。 そしてたこ焼きを買ってくるから待っててくれと言って舞山さんの手を掴んで立ち去っていく。 ただでさえ見たくなかった2人の繋がれた手を見て、胸に渦巻く感情が濃さを増した。

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