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10/11(金) from宗平

「ねぇ宗ちゃん?あなた月曜には普通に戻れてるって言ってませんでしたっけ?1週間経ったのに良くなるどころか悪くなって見えるのは俺の気のせい?」 向かいで気怠げにピザを食べる光汰が言った言葉に何も返せず視線を明後日の方向に向ける。 金曜の夜に光汰との食事を終えて春人の部屋へ特攻を仕掛けた俺は見事玉砕し、更に状況を悪化させてしまったようで、春人は本当に一切自分から俺に関わってくることが無くなった。 しかも若干俺を避けるようになってしまって2人だけになることもできない。瑛二もなんでこんな時ばっかりしっかり傍にいてやってんだ。家に行っても出てきてくれず、メールで帰るよう促される日々。 「もうさーなんなの?何が原因なの?早く解決しちゃってよー!」 重い空気が相当にストレスらしい光汰がうんざりしたようにそう言うが話もできない状況なので俺も困っているのだ。 俺としてはもし春人が無理矢理に関係を続けさせられているのなら力になって一刻も早く助け出してやりたいのだが…。 光汰にしつこく原因を聞かれ、はぐらかしては怒られたが、良い打開策は当然だが見つからなかった。 もう1度話をしてみるべきかと春人の住む下宿先へ足を向けるとタイミングが良いのか悪いのか…ちょうど家に入る前の裕大に出会してしまった。 「こんな時間にどうした、笠井?」 「春人に会いに来た。悪いんだけど呼んでくんねえ? 」 問いかけて来た裕大に怯んだ顔は見せまいと平然と伝えると裕大はつまらなそうな表情をする。 裕大と俺は、もうまともに言葉を交わしてはいないが、部活に関しては互いに難なくこなせる程度の上っ面は備えていたのでチームメイトに特に不審がられてはいない。 「『呼べ』ってことは…また突然来たんだ?」 連日俺が家を訪ねては断られていることは、同じ家に住んでるのだから当然筒抜けだったのだろう。諦めの悪い俺を笑うように見た後、裕大は「連れてきてやるから待ってろ。」と言って家の中に入っていった。 扉の向こうに裕大の姿が完全に消えてから、ふぅと息を吐く。 後夜祭のあの日から、底意地の悪そうな雰囲気を一切隠すことの無くなった裕大。 きっとあちらが本当の姿だったのだろうが、10日近く経つ今でも慣れなくて部活中先輩たちと会話する裕大を見る度にどちらが本当の姿だったのかと混乱してしまう。 優奈ちゃんといい裕大といい、この世界には性格を偽ることのできる人が案外多いらしい。増してや裕大は部活で朝夕と共に過ごしてもう半年経つというのに片鱗にすら気付かなかった。 「…春人は違うよな…。」 今はまだ真相を知らない"秘密"のことを思いながら、春人が出てくるのを待った。

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