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10/12(土)

「やだ。修羅場。怖っ。今どきの高校生こっっわ!」 文化祭以降会えていなかったマイマイが久々に部屋へとやって来たので後夜祭から今までのあらましを話すと顔を引き攣らせてそう言われた。 「それ絶対閉めた扉の向こうで裕大くん『顔も見たくねぇって。避けられちまって可哀想にな。』とか言ってるわよ。自分で仕掛けたのに!怖い!高校生怖い!!」 そう1人芝居をした後に絶叫しだしたマイマイを冷めた目で見遣りながら、長岡も宗平にはまともな態度を取っているしそんなことは無いだろうけどなぁ、と考える。 「長岡、何がしたいんだと思います?」 「いや、あんたを独占したいんじゃないの?完全に周りを牽制しだしてるじゃない。」 そう言ってきたマイマイにげんなりする。それってつまり長岡が俺を好きってことだろ?だからそれはありえないって…。 「俺は長岡が俺を孤立させようとしてるようにしか思えないんですけど…。」 「だからそれってつまりアンタの全てを独占したいってことでしょ?実際そう言われたんじゃないの?」 マイマイにそう言われて眉を寄せる。それって…好きとは違うと思うんだけど…。 「何をそんな警戒すんのか分かんないけど、もう良いんじゃないの?裕大くんにしとけば?」 「なんの話してるんですか。冗談でもやめてください。まじで。」 そう答えた俺をめんどくさそうに見た後マイマイは「でもアンタも単純よねー。」と言ってくる。 「わざわざ新しい痕付けたのってアンタに宗平くんを避けさせるためでしょ?それをアンタ…見事に思惑通りに動いてくれちゃって…」 「だって…じゃあどうすれば良かったんですか…」 長岡と宗平の関係だって壊したくないし、そっちが壊れるくらいなら俺と宗平が離れる方がずっとマシだろう。俯く俺の頭をマイマイがポンポンと撫でる。 「執着的に愛されるのも問題ね。」 「あのですね、そもそも長岡が俺を怨みこそすれ好きになる理由なんて1つもないんですよ?絶対愛情なんてないですから!」 強く言い返した俺にマイマイは「はいはーい。」と降参といったように両手を広げた。 全く分かってくれない様子のマイマイに口をむぅっとさせた俺を見て、マイマイは「ガキね。」と言って笑った。

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