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10/17(木) 2 ※

ガタガタと普通の教室とは異なる長机が腰の律動に合わせて揺れる。 「ぅっんっん"っ」 体は反転させられ、もう俯せではないというのに、覆い被さる長岡に合わせるように声が漏れるため、抵抗しようと必死だったはずの両手は今では口を塞ぐのに必死だ。 「ふ…ぅッ…はっ、も、ん"ん"っ!」 ビクッと俺の前側が震えて本日2度目の射精を果たす。勢いよく飛び散ったそれは、俺の腹にかかって、弄られ少し腫れぼったくなった乳首の横を流れ落ちていった。今更後ろだけでイけることにショックを受けたりなどしない俺はそのまま余韻に浸ろうとするのだが、俺が達したにも関わらず長岡は腰の動きを止めない。 「やらっ…まだ…イッてぅぅ…っ」 ビクビクと痙攣するように震える中側に執拗に与えられる快楽と、いつ誰が来るか分からない恐怖とに震える指でその胸板を力なく押すが、意に介さない長岡は俺の指を取るとそれに口付けて薄く微笑む。 「『お願い、裕大』とか言ってみたらぁ?」 頭沸いてんのか。 聞いただけで鳥肌が立ちそうなそのセリフを教えてきた長岡はスマホで時間を確認した後に「おっせーな、あいつ。」と呟く。 その言葉に訝しげに見つめると目が合った長岡はクスリと笑った。 「笠井をここに呼んである。舞台は用意してやったんだから、上手くやれよ?」 極近くでそう言うと驚く俺が何かを言う前に唇で唇を塞がれる。 「ふぅ…ん"ん"んーッ!」 重なった口の中でくぐもった悲鳴を上げる。 誰かが来るどころか最悪の人物が来ることを知った俺は先程よりも必死で抵抗し、早くこの場を収拾させなければと思うのだが、そんな俺の邪魔をするように長岡は俺を再び快楽の中に突き落とそうとする。 「離せっ!も…んぁ"っ」 まだ俺の中で元気に起立する長岡のモノが再び俺の感じる所を抉って、抵抗の声は喘ぎ声に変わる。そのまま何度もそこを刺激され俺はいやいやと首を振った。 本当にもうやめてくれ。だって宗平が──… そう願っていた俺の耳に届いた、扉が開かれる無情な音。 「っ!?」 扉を開けた宗平が、重なった俺らの体を見て言葉もなく固まる。 あぁ、終わった。 喉が押しつぶされたように呼吸が苦しくなって涙が溢れてきたが、そんな俺に長岡は「締めんなよ。」と笑いだしそうな声で言ってきた。 「ははっ笠井ー。」 1度宗平を間延びした声で呼んだ長岡はグイッと俺の体を抱えて向きを変えると、あろうことか宗平の方に俺の体を向けさせ、脚を開かせる。そしてズグズグと俺の後ろにまた侵入してくるのだ。 「春人の相手は、おーれ。」 未だ1歩も動けずに呆然と立ち尽くす宗平に向かって、そう楽しそうに告げた長岡はゆるゆると腰を動かし浅い所を攻める。 「っ…!やっ…やだやだやだ!や"ぁ…ン"ッ」 机に浅く腰掛ける長岡に背を預け、抱えられた膝を閉じることもできず、手を添えるようにしたり彷徨わせたりしながら、どうすれば早く解放されるのかを必死に模索する。 浅い刺激にも体はどんどん熱を帯びていくが、一方で指先はカタカタと震えだしていた。 「さっきの言葉言ってみたらもしかしたらやめてやるかもよ?」 涙を流す俺の耳に唇を寄せた長岡が腰を止めずにそう囁いたので、俺は一も二もなく縋るように口を開く。 「もっ…やだ…やだ、お願いぃ…ゆ…だぃぃ…」 「は?聞こえねーよ。」 「っ…ねが…おねがい!…ゆうだいっ!」 宗平の前で無様な痴態を晒すことを早く止めたくて叫ぶように言い切ったが、それを聞き届けた長岡はあろう事か腰を深く沈め「春人は欲しがりだな。」などと言って激しく打ち付けてきた。そこで漸く長岡の狙いが浅い刺激に耐えかねた俺が長岡に強請ったように見せることだったのだと気付いた。でももう手遅れだ。 「やだ!やっ…ん"ッ見な…で!ァッ…っ宗平!」 激しさを増す腰の動きに、気持ち良さよりも宗平の視線が突き刺さる不快感の方が勝るはずなのに、喘ぎ声を止められない俺は心底自分が嫌になる。 「やだっ宗平!そうへっ…そ…ん"、…ぁア"ッッ!」 薄くなってきた白濁が、宗平に向かって飛んでいく。 快楽に従順な体への絶望感や、宗平の視線や、後ろで笑う長岡への怒りやらが一緒くたに混ざって…涙が、ボロボロと溢れた。

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