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10/18(金)

宗平の顔が見れない。 昨日の昼間までの気まずさとはまた違って…目が合う度に優しく微笑まれるものだからどうしたらいいのか分からない。 昨日は宗平に長岡とのことがバレて、しかもばっちり見られて、でもその後に告白されて…そして顔を顰める長岡から守るように宗平に付き添われて家に帰った。長岡と顔を合わせたくなかったので、俺は帰宅直後に光の速さでシャワーを浴び、体調が悪いので夕飯は要らないと部屋に鍵をかけ引きこもった。 正直、帰り道に宗平といるのはかなり恥ずかしかったしこのまま消えてしまいたいと思ったのだが、汚れた俺の体を制服で拭ってくれた宗平が、しっかりと手を握ってきたので逃げ出すこともできずに俺はただ困惑しながらされるがままだった。 本当は今日だって学校に来たくなかったが、テストなので来る他無く、宗平と顔を合わせた俺は真っ赤になって挨拶も碌にできずに席に着いた。 明らかに昨日までと違う俺と宗平の雰囲気に光汰と瑛二は眉を寄せていた。 「春人。昨日の冗談でも何でもねぇから。」 全てのテストを終え、人の疎らになった廊下で部活に行こうとしていたはずの宗平が俺の目をしっかり見て微かに指の先を握り、そう言ってきた。 恥ずかしくて、火が出そうなほど顔に熱が集まってくるのを感じる。 昨日も理解できなかった宗平の気持ちは、やっぱり今日も理解できなくて俺は「えっと…」と言いながら視線を彷徨わせ言葉を探す。 だが…単に「好き」としか言われていないし、これがもし本気だとして宗平は俺とどうなりたいんだ…。 さするように撫でられる指の感触が心地良いなんて感じる余裕も無く、足元をただ見ていた俺の耳元に、宗平が不意に唇を寄せ俺にしか聞こえないくらいの声量で囁く。 「俺と付き合って。」 ぶわわっと更に顔が熱くなって思わず見上げた俺に、宗平はここ最近は見れていなかった清々しい笑顔で「前向きに検討お願いします。」と言葉尻を上げて伝えてきた。 俺は何も言えなくて口をパクパクと動かし宗平の顔を見つめるのだが静かに見ていた宗平に「ここでキスしたくなるからあんま見つめないで。」と追い討ちのようなセリフを言われた。 あまりの恥ずかしさに視線を外すと「あ、それもかわいい。」と更に言う。 誰か宗平の口を縫ってくれ…。 でも俺も宗平も男だし…しかも宗平は昨日俺と長岡がシてるのも見てる。普通こんな奴を好きになるか?ていうかいつから好きだったんだ?俺のどこが?本気?宗平のこと好きな女の子は沢山いるのに… 湧き出てくる疑問の数々に黙って俯いていると宗平が俺の頭をくしゃりと撫でた。 「悪い。いじめすぎたか?俺、部活行くな。」 そう言って笑うと宗平は軽く手を振って去っていった…。 ……。 …。 あああぁぁっっ!!

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