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10/18(金) 2 from宗平
部活後のモップがけを終え、用具室から出ようとしたところで後からモップを持ってきた裕大と目が合った。
「…」
互いに無言で見つめ合って微動だにしない俺たちに「先戻ってるよ。」とチームメイトが声をかけ不思議そうな顔をして出て行く。
完全にチームメイトが体育館から出て行ったのを見てから裕大が俺に視線を戻した。
「昨日の…何あれ?」
ひどく冷めた声でそう聞いてきた裕大に「そっちこそ何のつもりだよ。人に見られたい趣味でもあった?」と聞き返すと、裕大はイラついた様子で息を吐いた。
「笠井はほんっと思い通りになんねーな。春人はあんなに単純なのによ。」
「そりゃどーも。でも春人もその内思い通りにならなくなるかもな。春人、近いうちに俺と付き合うから。」
宣言した俺に裕大は昨日よりずっと不機嫌な顔をして「あぁ?」と言って俺を見る。
「つーかお前何言ってんの?昨日のは普通男に掘られて善がる春人に引くとこだろうが。」
なるほど。裕大はそういうつもりで俺を呼んだのか。
だがお生憎様。
自分のことも曝したのは俺が周りに言い触らす人間ではないと多少なり信頼してくれてのことなのだろうが、裕大の予想の中で合っていたのはきっとそれだけだ。
「裕大が身体張って春人のエロいとこ見せてくれたお陰で俺も漸く自分の気持ちに気付けたわ。ありがとな。」
「……お前案外最低な奴だな。」
昨日黙って見ていた俺の行動の不可思議さに納得がいったらしい裕大にそう言われる。裕大に言われるのは心外だが、確かに昨日の行動はどう考えたって最低だ。犯される春人を見た俺は助けるどころか、思ってもなかった春人の艶かしいその姿に見入っていた。起ち上がりそうになる下半身を春人にバレないように鎮めるのにも必死だったし…。
「昨日はなんか衝撃的すぎてボーッとしちまったけどさ…思い出すと好きな子が別の奴に抱かれてるってやっぱすんげームカつくんだよね。」
言いながら頭に浮かんだ昨日の光景に、今でも胃がムカムカとしてくる。そして俺は昨日初めて今まで自分が抱えていた不快感の正体を知った。
「だから殴っていいか?」
そう聞くと裕大は「お前がほんとに彼氏になれたらな。」と答えた。
それを聞いて俺は…裕大の頬を1発思いきり殴る。
唇から血を滲ませた裕大が射殺さんばかりに俺を睨み「てめぇ…」と言ってきた。
「今のは春人の友達としてな。」
春人の相手は裕大。春人は相手に抱かれている。だがそれは合意ではない。
昨日の光景と俺の予想は、今度こそピタリと嵌っている。
「彼氏になれたらまた殴りくるから覚悟しとけよ。」
そう言って体育館を出る。
あぁ、明日から土日だなんてツイてない。
俺は早く春人に会いたいのに。
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