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10/19(土)
テストも終わったことだし、最近は精神的に疲れることばかりだ。今日はもう家から出ないでゆっくり過ごそうと思った俺の携帯が着信を告げる。
『春人、今日時間ある?』
電話をくれたのは宗平。面と向かってじゃないからまだ少し落ち着いて話せるが、画面を見た時は手が震えた。
「えっと…今日は少し体調が悪いから家に居ようかなって…。」
嘘だけどこの流れは絶対遊びに誘われるのでモゴモゴとそう口にする。
宗平は前々から頻繁に俺を遊びに誘ってくれていて、俺もそれが嬉しかったし今でもそれは変わらないのだが…今は気恥ずかしくてきっと何をしても以前のように無邪気には楽しめない気がする。
『どっか悪いのか?』
そう心配そうに聞いてきた宗平の声に少し良心が痛むが仕方ない。それに本当に具合が悪いのだとしたらそれは精神的なものだ。
『何か適当なもん買って後で見舞い行くな。』
「え!?いや!大したことないから!!」
焦って叫ぶように言った俺は『もしかしてこれも嘘か?』と聞かれて今すぐ電話を切りそうになる。
『ははっ。冗談だよ。春人ってかわいいからいじめたくなるんだよな。とりあえずまた後でな。』
そう言い残して宗平は電話を切った。
宗平が…来る?部屋に?
ぎこちなく動く体を押して部屋を少し片付ける。部屋と違って頭の中は掃除もしていないのに真っ白で、ただ時間だけが過ぎていき、数時間後に長岡の母親のノックに応えて開けた扉の向こうには、もう宗平が立っていた。
「よっ。どう?体調は。」
「ま…まぁまぁ…」
とりあえず中に入ってもらってお茶を用意しようと思い、取りに行こうとするが、それより先に宗平に飲み物を差し出される。軽く礼を言って受け取って、ちみちみとそれを口にする。
ベッドの上に腰掛ける宗平と、ベッドを背に床に座る俺。
横にならなくて良いのかと聞かれたが、俺に告白してきたということを考えると宗平の前でベッドに横になる勇気は出なかった…。
別に宗平がこの部屋を訪ねてくるのは初めてのことではないが、緊張してしまってとても居心地が悪い。
「春人の部屋来んのも久しぶりだな。夏休み明け以来か?」
「あ…うん…。」
夏休み明けのあの日と言えば…思い出されるのは長岡のあのゲームのようなセリフ…そういう類のゲームをやったことがないからよく分からないけど。
「俺あん時も裕大に対して嫉妬バリバリだったんだよな。」
そう自嘲するように笑いながら言った宗平。
そうなのか?1ヶ月以上前…本当に宗平はいつから俺のことを…?
「春人。一応確認したいんだけど…裕大に抱かれてんのは春人の意思なのか?」
「!?違う!」
焦って顔を上げ否定した俺に宗平は少し安心したように笑う。
「良かった。春人も裕大のこと好きだったんなら俺完全に邪魔者だもんな。」
そう眉を下げて少し困ったように笑った宗平はすぐに真剣な顔をして、だが口元には余裕を伺わせる笑みを浮かべて俺と同じように床に座って手を握ってきた。
「ねぇ、付き合ってよ。春人。」
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