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10/19(土) 2

宗平から3度目の告白。…1日に1回告白されている…。だが──… 「俺も、宗平のこと好きだよ?でも…俺は宗平と…友達でいたい…。こういう…張り詰めた空気って…なんか苦手だ…。」 正しい言い方など分からないなりに精一杯言葉を選んで伝える。本当は張り詰めた空気に心臓がもたなそうだと言いたかったのだが…それだとなんだか俺から宗平に告白しているようだと感じてその言葉は控えた。 すると宗平は少し寂しそうな顔をする。 「でももうただの"友達"にはお互い戻れないだろ?」 そう尋ねる口調だが…強い確信のように言われた言葉。 「…ごめんな。こんなん言われて困るのは分かんだけど…でも俺、このまま春人のこと諦めるなんてできねぇ。」 言われてまた顔が熱くなるので俺は立てた膝に顔を押し付ける。すると宗平は俺の手に重ねたままの手を少し握り込んで、微かに晒された俺の額にキスをしてきた。 「──っ!宗平っ!」 堪らず顔を上げた俺を真剣な瞳が映す。それにドキリと心臓が跳ねた。 「彼氏の俺は嫌か?」 「い、や…って、いうか…」 宗平と一緒に居るのはすごく好きだ。 自分が普通の、何の(しがらみ)もないただの高校生に思えてくるから。 「…本当にもう戻れないのか…?俺は…宗平と…いる時間が好きだ…。」 「彼氏の俺とも結構心地良い時間を過ごせると思うけど?」 ああ言えばこう言う…。 「そんなん分かんねぇじゃん…。」 「分かんねぇなら2人で確かめてみねぇ?」 すかさず返してくる宗平に俺は言葉を失うばかり。 本当にこの男は…俺の不安なんか分からないようなフリをして壁を越えて来ようとする。 「春人…」 そう呟いて俺の手を強く握って体を寄せてきた宗平を、グイッと腕で押して距離を取る。 「っ……保留!!」 叫ぶように言うと宗平は驚いた顔をするが、次の瞬間には嬉しそうに顔を綻ばせる。 「お断りじゃなくて保留な?」 「断ったって…諦めてくんねぇじゃん…。」 さっきからずっと断ってんだけど…と思いながら口をむぅっとさせ視線を逸らすと宗平はまた「かわいい」と言って髪に顔を寄せようとする。それに俺は真っ赤になりながら手を翳した。 「でもこれで俺と付き合ってくれる可能性出てきたよな。」 「それは…!……分かんねぇ…。」 目を見れないまま答えた俺の頭を自身の胸に抱き寄せて宗平は「じゃあこれからも遠慮なく押してくな。」と楽しげな声で言う。 それに俺の心臓はまた大きく脈を打つ。 宗平からアプローチしているのを見るのは初めてだが、こんなにガツガツ来るのだとは思わなかった。きっと過去の彼女たちも心臓に悪い想いを沢山したに違いない…。 そう思いながら、俺はどちらのものとも知れない心音に耳を傾けていた。

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