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10/25(金) from宗平
部活終わりのファミレスで、ガンッとグラスを机に打ち付けて不機嫌そうな顔の光汰が俺を睨みつける。
「ねぇ、あなたたち付き合ってますよねぇ?」
「いや?」
それを聞いて光汰は「嘘だぁー!」と席を立つ。まぁすぐに座り直すのだが。
「付き合ってるように見えたか?」
確認するように尋ねると光汰はムスッとしたまま「うん。」と即答してきて、それに俺は少し気分が良くなる。
春人としては周囲の人に俺から告白したことや、俺が春人のことを好きだということ自体知られたくないようだが、付き合っているように見えるくらい春人と親密になれているのだとしたら俺としては喜ばずにはいられない。
もう1つ懸念だった舞山さんとの関係も本当にただの友人だと説明され、言われてみれば何も怪しく見えない2人の関係を異様なまでに深読みしていた自分が少し笑えて、心の軽くなった俺は更に上機嫌で春人に構い倒した。
春人が俺のことを心配してくれて周りにバレないようにしてくれているのは分かるのだが、そんな春人がいじらしくて仕方がない。きっとこれは春人にとっては悪循環なんだろうなぁ…と、春人の焦ったような顔を思い出してまたニヤけそうになるが、今は光汰が目の前にいるので自重しよう。
「宗ちゃん、やっぱ春人のこと好きでしょ。」
「守ってやりてぇとは思ってるよ。」
はっきりとした否定はせずに、やんわりと光汰の言葉を躱す。
「何それー。春人にとっての白馬の王子様でも目指してんの?」
「ははっ。王子って。」
なれたら最高だな。と思ったがそれは言わない。光汰や瑛二に言うのはきっと春人の了解を得てからの方が良いだろう。その前に付き合う必要があるのだけど。
「別に俺は宗ちゃんと春人が付き合ってても引かないよー?」
タイミング良く光汰に言われた言葉に内心ギクリとしながら「だから付き合ってねーって。」と返す。
「言いたくないなら良いけどさー。でも俺ほんとに…。」
そこで1度言葉を切ると光汰は迷った風に続ける。
「前はー…たぶんドン引き…っていうか俺もそういう対象で見られちゃう?とか思って友達やめたりとかあったかもしんないけど……。でも今は茉莉香のこととかあってちゃんと分かってるから…。」
少し寂しそうに言う光汰を、俺も少し寂しい気持ちで眺める。
きっと光汰の言葉は綺麗事ではない本心から来る言葉なんだろう…と、里沙ちゃんや茉莉香さんのことを思い出す。
俺も彼女たちから受けた影響は大きい。
里沙ちゃんが同性と付き合っていたという話や、光汰伝いに茉莉香さんの話を聞かなかったら、俺は春人の秘密を知った時、春人を異質の目で見ていただろうか?春人を好きになった自分を受け入れられていただろうか?
「ありがとな。光汰。」
まだきちんとは言えないが、はっきりと関係に決着が着いた時には話をしよう。
そう思っていじける光汰に微笑むと光汰は「宗ちゃんのばーか。」と言って頬杖をついた。
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