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12/9(月) 2 from宗平

春人から声をかけられ、教室では出来ない話なのだと言われた時は…俺と付き合う気になってくれたのではないかと本気で期待した。 しかし春人に導かれやって来た化学室で渡されたのは可愛らしい雰囲気の小さな手紙…。恐らく春人が用意したのではないそれを見て、怒りで手が震えそうになる。 「…何これ?」 「今朝…宗平に渡してって女の子から渡された…。かわいい子だったよ。たぶん宗平も気に入る感じの…。」 そう言ってきた春人の肩を掴んで壁に押し当てる。少し痛そうに顔を歪めていたが…力加減なんてできない。 「そんなこと聞きてぇんじゃねえのは分かんだろ!?」 怒鳴る俺に春人は苦しそうな顔をして、目も合わせないまま押し黙る。 「ふざけんなよ、まじで!先週はまた痕だらけで登校するし、今日は別の子からの手紙って…!」 ギリリと指先に力が込もって春人のシャツに皺が寄っていく。引っ張られるように寄せられていくシャツの…広く開いた首元には隠されることなく晒された痕が今日も消えることなく残っていた。 「っ…」 俺の知らないこの肌を、裕大は知っている。 首元に顔を埋めると春人は焦ったように「宗平っ。」と俺の名前を呼んだ。 「春人…。」 あぁ。今すぐ春人を抱きたい。 嫌だって泣かれても…もう俺の名前しか呼ばないように…俺以外の下らない(しがらみ)のことなんて考えないように… 抱いて抱いて狂うほどに抱き潰してやりたい。 手に入らないのなら無理矢理にでも──… ダンッ 流されていく思考を塞き止めるように体を起こし壁を殴る。 その音に小さく体を跳ねさせた春人を見て、はぁ…と息を吐いた。 俺のことしか考えていない春人なんて…そんなものを望んでいるんじゃない。 それこそ俺が好きになった春人とは別人だ。 「まだ…俺のこと好き?」 聞いたって、付き合えないという春人の気持ちは知っているのにそれでもどうしても確認したくて春人に尋ねるが、答えてくれない。 「春人。」 頷いてほしくて、好きだともう1度言ってほしくて、春人の頬を手で包んで顔を上げさせる。 それでもやっぱり春人は答えてくれなくて、苦しそうな表情のまま視線も合わせてくれない。 だが…きっと今はこれが答えだ。 「春人…好きだよ。」 俺がそう呟くと春人は1度だけ体を揺らした。 ゆっくり体を離して化学室を後にする。 手の中にはぐしゃぐしゃになった手紙。 この子に色良い返事はできないが、久々に春人と話をするきっかけを与えてくれたことに、少しだけ感謝した。

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