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11/23(土)

「紅葉見に行こうなんて宗ちゃんって意外とじいさんだよねー。」 「うるせぇ。帰れ。」 「え、ひど。誘ってきたのはそっちなのにー。」 学校から数駅離れた場所にある有名なスポットに4人で紅葉を見に来た。 本当は宗平に2人で行かないかと誘われたのだが、俺は思わず瑛二と光汰を誘ってしまい、宗平は軽く笑って受け入れてくれたが、今の光汰に対する態度を見る限り、納得いっていない想いが多少なりあったようだ。 「あっちの方に散策コースってあるみたい。行く?」 瑛二が地図を見ながら林に入っていく方の橋を指さす。 「うん。この辺人多くてごたついてるし、ちょっと落ち着ける場所で見てみたい。」 瑛二からの提案に頷いて返して、宗平の方を確認するように見ると宗平は笑って頷いてくれた。 「山道っぽくなってるらしいから春人気を付けてな。」 「え、ちょっとなんで俺だけ。」 「春人、俺より運動神経悪いからねー。」 宗平から心配されるように掛けられた言葉に反発すると光汰がケラケラしながら言う。 それは間違っていないが…俺だって歩くくらいは出来る!と思いながら散策路を4人で歩いていたところ、数日前の雨で湿ったままだったらしい落ち葉に滑って遊歩道の外に転げ落ちたのは光汰だった。 「痛いー助けてー。」 光汰は落ちてもやっぱり本気で痛いのかどうか分からないような間の抜けた声で助けを求めてきて、そんな光汰をすぐに瑛二と宗平が引っ張り上げてくれた。 「ちょっと擦りむいた…。」 そう言って見せてきた光汰の掌は赤く擦れていて少し皮が剥けて血が滲んでいた。それを見た宗平がすぐに来る途中にあった広場の水道まで戻って汲んできた水で光汰の腕を軽く洗い、持っていたタオルで拭ってあげる。絆創膏を取り出して光汰の手に貼る瑛二とそれを見ながら光汰に「落ちたのは光汰の方だったな。」と笑いかける宗平を、俺はただ見ていた。 宗平は…やっぱり皆の中で笑っているのが似合っている。 俺が転校してくる前の3人の姿を見ているような気分で…俺なんかがこれを壊してはいけないのだとヒシヒシと感じる。 そうして少し距離を取ってぼんやりと眺めていた俺に気付いた宗平が近くまで来て「どうした?」と尋ねてきたけれど、俺は当然胸の内なんて明かせないまま首を横に振った。 色付いて落ちていく紅葉に、落ちていく時が1番鮮やかなんだなぁ、とかシャレたことを感じながら。

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