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12/25(火)

今日から学校は冬休み。 しかも今日はクリスマス。なのに俺には恋人と出かけるどころか友達と出かける予定だって無い。 「だっせ。クリスマスなのにお前ぼっちかよ。」 「…お前だってそうだろうが。」 他の下宿生や…長岡の両親でさえ出掛けているクリスマスの真昼間にリビングでソファに腰掛けながらぼんやりとテレビを見ていると帰宅した長岡が顔を覗かせ声を掛けてきた。 「俺は昨日の夜に終えてきたから良いんだよ。クリスマスに1人で居たくないだけの奴の相手なんて1日で充分だろ。」 そうヒネた事を口にする長岡。 こいつの…そっち方面の付き合いって本当に謎だ。でも今の発言を聞く限り付き合ってる子って訳でもなさそうだけど…いや、どうなんだ? 「長岡って付き合ってる子いんの?」 「いたら妬いちゃう?」 「…妬くかアホ。」 またきちんと答えてくれない長岡にうんざりしながら視線をテレビに戻すと後ろから長岡が俺の顔を支えて頬にキスをしてきた。 「っな…!」 驚く俺をニヤリと見て、長岡は「寂しいクリスマス過ごしてて可哀想だから慰めてやるよ。」と言ってきた。 やめろ。そんなの望んでない。 「ちょっ…離せ…!」 他には今誰もこの家に居ないとは言え…リビングという鍵も何もない空間で俺のズボンに手を掛ける長岡。 「パッと挿れてパッと出せばすぐ済むから良いじゃねーか。」 「ふざけ…、そんなさっさと終わらせるくらいならシなくて良いだろ!」 ……止めたくて言ったはずなのに俺は言葉のチョイスを完全に間違えたようで…、長岡はそんな俺の過ちに気付いているはずなのに「そうか。じっくりヤッてほしいんだな。」と笑いを堪えるような顔で言ってきた。 「ちが…んっ…」 俺の声は長岡の口の中にくぐもった悲鳴として消えていった。 「じゃあじっくりやるために部屋でも行きましょーか、お姫様?」 口を離した長岡は嫌な笑みでそう言うと、その口元を更に歪め、横に来て俺を抱えあげる。 本当に姫のように横抱きにされて、屈辱なのに長岡の背の高さを知っている俺は落とされることを恐れて長岡の首に腕を回した。 「たまには素直になれんじゃねーか。」 そんな俺を長岡が感心したように見て笑う。 「捕まってないと…落ちるだろ。それだけだ。」 「ははっそうだな。…ちゃんとしがみついてろよ?」 長岡はそう言ってまた笑い、抱きつく俺の首元に唇を寄せた。 そうして俺は宗平と気まずいまま冬休みを迎えてしまっているというのに、クリスマス翌日の朝になってもまだ長岡のベッドにいた。

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