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1/25(土)
今日は宗平と2人で宗平の新しいマフラーを買いに来た。
マフラーを新しくしたいから一緒に選んでほしいと宗平からメールを受け取ったのは昨日の夜のこと。もう1月だって終わりに差し掛かっているのに変な時期に新調するのだなと疑問に思いながらついてきたのだけど、これがデートなのだということは俺もなんとなく気付いていた。
だが店に着くとなぜかマフラーの柄を見て俺に意見を尋ねた後に手袋を見に行く宗平。マフラーだけだと思っていたのに手袋も買うつもりなのか?宗平は意外と寒さに弱いんだなぁ、と思いながら商品を持ってきては意見を求める宗平に答えながら俺もゆっくりと店内を見て回る。
暫くして商品を選び終えたらしい宗平が袋を片手に戻ってきて、まだ店内を見るかと尋ねてきたが俺は首を横に振った。2人で店を後にし、近くにあったカフェで少し休む。
「もしかして春人ってブラック飲めねぇ?」
席についてからカフェラテに砂糖を加えている俺を見た宗平が少し面白そうに聞いてきてそれに恥ずかしくなりながら「悪いかよ。」と答えると宗平は笑う。
「いや。かわいいなって思って。」
また周りに人が大勢居るのにそんなことを言ってきた宗平に焦って砂糖を少し零してしまうがそれよりも周りの確認の方が先だ。キョロキョロと辺りを見回すが誰にも聞こえてはいなかったようでホッと息を吐く。
「…ばか。」
そう一言言うと宗平はまた笑う。ここが人の多いカフェの中だというのは分かっているのだけど、俺はその宗平の笑顔にドキリとしてしまい顔が赤くなるのを止められない。
「かわいい。」
それを見て宗平がまたそんなことを言ってくるので小突き、暫く同じようなやり取りを繰り返しながら会話をする。
友達でいた頃と話の内容に何か大きな違いがある訳ではないが、付き合っているのだという認識があるだけで俺にはなんだか特別なもののように感じられた。
会話の内容は本当に大したことなくて、4月になって進級したらクラス替えがあるとかそんな話。
でも話の中で「春人とまた同じクラスになりてぇな。」と言ってきた宗平に、やはり友達として話していた頃とは違う感情が芽生えて、頬を染めた。
カフェを出る頃には日は傾きだしていて、北風がコートの端を持ち上げる。
「うゎっ!寒っ!!」
思わずポケットに手を入れて肩を竦めた俺を見て宗平が微笑みガサガサと先程買った商品の袋の中から手袋を取り出した。
「あぁ。手袋も買ったんだ。」
つけるのかと思ってタグの切られたそれを見ていると宗平が俺の手を取ってそれを俺の手にはめた。手の甲側がチェック柄でワンポイントの刺繍が入ったレザー手袋。驚いて見ていると宗平は自分の首にはマフラーを巻き付ける。
「お揃い。」
そう一言言って微笑んだ宗平のマフラーの柄を見ると俺にはめられた手袋と同じチェック柄とワンポイントの刺繍。
「今度の年末はこれ付けて一緒に過ごしたいなって願いも込めて。」
付き合いだしたのは昨日のことなのに何を言っているんだと思うけど、嬉しさと恥ずかしさと歯痒さと…色々な感情がごちゃ混ぜになって抱きついてしまいたくなる。
まだカフェを出たばかりで周りに多く人がいるからそんなことはしないが…。
「ありがとう。大事にする…!」
あぁ、きっと俺の頬は緩みきっていたに違いない。
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