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2/17(月) 2 ※
あぁ、今朝のもどかしくも穏やかだった空気は一体どこに行ってしまったのだろう。
「付き合って1ヶ月しねぇ内に他の奴に抱かれてるとか笑えるな。」
聞きたくないその事実を、俯く俺の耳元で囁いて長岡はいつものように俺の背に口付ける。
涙は一頻り流したはずなのにそれでもまだ溢れてきて、俺は目の前にあるシーツを掻き集めて目元に押し付けた。
「また泣いてんの?」
そんな俺の片腕を取り上げて強制的に半身を振り返らせた長岡はぐしゃぐしゃになった俺の顔を確認して眉を寄せながら笑う。
「痕も残んねーようにしてるから笠井にはバレねぇよ。」
そういうことじゃないのは分かっているはずなのに、そんな見当違いのことを言って俺の唇に自身のそれを寄せた長岡。
「だから秘密な?」
微かに触れ合う距離で言われたその言葉にズキリと一層深く胸を刺す痛みが襲った。
あけすけに宗平に語る気は無いが、それでも改めて長岡にこれは俺たちの新たな"秘密"なのだと言われると宗平に対しとても悪い気がした。
「長岡…も…ゃだ…。」
「まだ1回しかイッてねーだろ?」
長岡はこんな時ばかり勘の悪いようなフリをして話を逸らす。
「他の方法、探そうって…。」
宗平と付き合う直前にした際にあっさりと流されてしまったが、長岡に償う別の方法を探したいのだという話を辛抱強く再度切り出すと、長岡は面倒そうに「うるせぇなぁ。」と言って俺の起きかけた肩をベッドに押し付ける。
「お前こそ落ちなさすぎじゃね?こんなん初めてなんだけど。」
「は…ぁ…?何言って…。」
まるで何か他のものと比べるような言い方が気になって振り返ろうとした俺は腰にグルリと回ってきた長岡の腕に押さえ込まれるように抱かれる。深い場所を抉られ「んっ…」と甘い声が微かに漏れた。
「俺ら体の相性も悪くねぇだろ?」
「ぁ"、やっ…」
抱き込まれた姿勢のままグリグリと奥を押し潰されるようにゆっくりと腰を動かされそれに全身が強ばって、指先や爪先に力が篭もる。
「すげぇ中うねってる。期待してんの?」
「違っ…ンっ…」
顔は見えないけど長岡が笑っていることは声で分かる。
レロ…と項を這った長岡の舌に驚いて頭を持ち上げると長岡はまた笑って俺の目元に手を当てた。
「今お前を抱き潰したら、お前は誰の名前を口にすんだろうな。」
視界は暗い。
俺は目を瞑り涙で長岡の手を濡らす。
その閉じた暗闇の中に浮かぶのは──…
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