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2/17(月)

宗平は土曜のことがあったからなのか今日は朝からとても機嫌が良かった。 金曜の夜には里沙ちゃんと共に過ごしたらしい光汰も負けず劣らず機嫌が良くて、今回は厳しくツッコむ役が瑛二しかいなかったので俺たちのグループはなんだかよく分からない飽和状態になっていた。 「宗平はもっと態度をコントロールできる人なんだと思ってたよ。」 向かいで幸せオーラ全開な2人を瑛二が目を細めて見つめながら呟いて俺は「ごめん…。」と苦笑いして返した。 俺も宗平がこんなにも『嬉しい』という感情を持続させているのには少し驚いた。 でもこれってバレンタインのチョコの中に好きな子からのチョコが入っていたのだと周りに勘違いされて変な期待を抱かせたりしないだろうかと俺としては不安になる。 案の定クラスの女の子が「宗平機嫌いいねー。チョコに本命からのでも混ざってた?」と探りを入れてきた。その子のグループの子たちは少し後ろで席に座りながら様子を伺っているけど、この中に宗平のことを好きな子が居るのだろうか? 不安になって宗平を見る。 「いや。付き合ってる人からチョコ貰えたから嬉しくて。悪いけど暫くニヤつくの抑えられる気しねーわ。」 すると宗平はあっけらかんと女の子に笑顔でそう返した。瞬間ザワリと沸き立つ教室内。 「はぁ!?宗平彼女いたの!?いつから!?」 聞いてきた子は目を点にして勢いよく尋ねてきて宗平は平然と「1月の終わりから。」と答える。 女の子はその後も「誰?何組の子?つーかこの学校?写真ある?」としつこく聞いていて俺はなんだかその空気に居た堪れなくなって教室を出た。 だが暫くして後ろから宗平が追い掛けてくる。 「女子と話してたの気に触ったか?」 「そうじゃないけど…なんか、あの場に居づらかったっていうか…。」 宗平が彼女たちに全てを明かせる日は来ないし、それは背徳感と共に罪悪感を煽った。 宗平は静かに黙ったまま向かい合った俺の髪の毛を梳いて顔にかかったそれを耳にかけさせる。その感触がなんだかくすぐったくて肩を竦めた。 授業直前の屋上へと続くこの階段下には人気はないが、一応日中の校内ということを宗平も考慮してくれているようでそれ以上はしてこない。 「あー。学校でも春人に触りてー。」 ボソリと呟いた宗平が微かに指の先に触れる。それに対し俺が顔を赤くしながらも「…触ってんじゃん…。」と素っ気なく返すと宗平は唇を尖らせて俺を見下ろした。 「俺のしたいことハッキリ言って良い訳?」 「……だめ。」 俺の返答を聞いた宗平は少し寂しそうに笑う。 「だよなー。じゃあ"今度"はいつ来んの?」 だが一転して少し意地の悪い笑みを浮かべてそんなことを聞いてきた宗平。それはつまり一昨日の会話のことを言っていて、つまりは…いつ俺から宗平にキスをするのかということ…。 「ち…近いうちに…。」 しどろもどろと答えた俺に宗平は目尻を下げ「楽しみに待ってる。」と言って笑った。

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