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4/6(月) 

今日から新学期が始まると同時にクラス替えが行われ、新たなクラスでの生活が始まる。 宗平と同じクラスだと良いなぁ…なんて考えながら、隣を歩いて一緒に登校する宗平をチラリと盗み見るように見上げると宗平はすぐに俺の視線に気付いて、多少無理をしているようだが優しく微笑んでくれた。 それに対して俺は精一杯の笑顔で返す。 早く宗平の不安を完全に取り除いてあげたい。 こうやって素直に考えられるようになったのもマイマイが俺の心をきちんと整理してくれて「宗平が何より大切なのだ。」と再認識させてくれたからだろう。 「はーい、そこ。新しいクラスも始まるしどんな人がいるかも分からないので大っぴらにやるのは避けてくださーい。」 だが突然に俺と宗平の間にビッと用紙を刺すように割り入れてきた光汰が少し小声で言ってきた。 光汰の後ろでは瑛二が「おはよう。」と声を掛けてくる。 「ていうか残念でしたー。宗ちゃんと春人は別のクラスだよー。」 「え!?うそ!?」 張り出された掲示の紙を確認する前に、光汰が先程までの淡い空気をぶち壊すことを言ってきて、それに俺は飛び付くような反応を示す。 「ほんとでーす。宗ちゃんは1組。春人は6組だよ。」 そう言いながら光汰は先程俺たちの間に差し込んできた紙をヒラリと上向かせる。どうやらそれは配布用のクラス替えの案内だったようで宗平と2人で食い入るようにそれを見つめる。 「ほらここ。春人と俺は同じクラスだけど光汰も4組だし、ほぼ皆バラバラだね。」 そう言いながら瑛二が表の中の俺と宗平の名前を分かりやすく指を差して教えてくれる。 「まじか…。でも瑛二がいるだけで心強いな。」 紙から視線を上げて瑛二に笑いかけると宗平が俺の腕をガッと掴んだ。もしかして何か気に触ったのかと思って慌てて宗平を見るが、宗平はまだ紙を見つめたまま。 「…ざけんなよ…。なんで…。」 ボソボソと何かを言っているので「宗平?」と声を掛けると宗平は静かに顔を上げて表の中の名前の1つを指差した。 その先を見るとそこには『長岡裕大』と書かれた名前。そしてその名前があったのは…俺と同じ6組の枠の中だった。 「ん?なに?なんかあったのー?」 光汰が興味あり気に聞いてきたが「いや、何も。」とはぐらかして宗平に笑いかける。 「…大丈夫だから。」 俺はもう迷わないのだと決めた。 もう、長岡とは関わらない。 こんな…クラスが一緒になったくらいで心配させてしまう自分を情けないと感じたし、早くどうにかしなければとも思った。 「今日…学校終わったら宗平ん家行っていいか?」 尋ねると宗平は静かに頷く。 早く、俺の全てを宗平にあげて宗平に安心してもらいたいな…。 そんなことを、心の奥で思った。

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