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4/3(金)
今日は長岡のことについての懸念が無くなってから初めての宗平とのデートで、先週俺が体調不良と嘘を吐いて見ることが出来なかった映画を見に来た。
今回見るのは俺のチョイスで全年齢を対象にしたピクサー映画。俺の偏見だがピクサー映画にはあまりハズレがない。…が、完全にミスった。全年齢対象ということと今の時期は小中高大、全ての学生が春休みということで映画館は酷い混雑。とてもこの中で手を繋ぐことなんてできない…。
前回宗平が手を繋ぎたかったらしいことと、マイマイからの「精一杯愛情を伝えろ」という言葉もあってどうにか手を繋ぎたかったんだが…。
あぁー…こんなことなら同時上映中のホラー映画にしておけば良かった…。ホラー苦手だけど。
そんなことを考えながら上映前から落ち込む俺を宗平が心配そうに覗き込む。
「なんかあったか…?」
「え!?いや、ううん…全然!」
そう答えると宗平はまた寂しそうな顔をする。その顔を見て俺は焦る一方。
これはまた不安にさせている…。
どうしよう…どうしよう…。
でももうすぐ映画が始まる。
「あ…あの、宗平…。」
それでもこのままではいけないと宗平の服の裾を掴んで席を立つと宗平をトイレに引っ張ってきた。
ほとんどの映画が上映開始されているようでそこに人の姿が無いことを確認すると個室に2人で入り鍵を掛ける。
「…春人?」
不思議がる宗平の首に腕を回してチュッと口付ける。
「あの…不安にさせてごめん…。でも、もう大丈夫…だから…。」
そう伝えるが宗平はまだ少し納得いかないような表情をしている。
えええ、どうしよう…。愛情ってどうやって伝えるの?
戸惑いながらとりあえずもう1度キスをする。
「宗平…、好きだ…。」
そしてもう1度。だがそうやって繰り返しキスをしていると宗平が俺の腰に腕を回してそれを深いものにしていく。
「ん…ぁ…、好き。好き…。大好き、宗平…。」
壊れたように合間合間でそれだけを伝えて何度も唇を重ねる。
だが段々と宗平のモノが頭を擡げてきているのに気付いて…、俺はおずおずとそれに手を伸ばした。
「っ春人…。」
今度は宗平が焦ったような声を上げる。それが酷く愛おしい。
だが…、宗平のベルトに手を掛けようとした所で子供と父親らしき男性の声が聞こえてきて、正気に戻った俺は飛び跳ねるように宗平から離れて思いっきり頭を壁に打ち付けた。
「っ──!」
外から「お父さん今の音なにー?」と幼い声が聞こえてきて、不審がられてはいけないと思って痛みを堪え声を押し殺す。
暫くすると親子はトイレから出て行ったようで、ホッと息を吐きながら俺は痛みで涙の滲んだ目で宗平を見上げた。
「ッ…。俺は…後で戻るから春人は先戻っててくれ…。」
宗平はそっぽを向いてそう一言俺に告げる。
あー…完全に引かれた…。外で、トイレで、何してんだ俺は…。
「うん…。悪い…。」
俯いて返して1人で先にトイレを出て席に戻る。俺が戻った時点で既に映画は少しだけ始まっていて、それから暫くして宗平も戻って来た。
そしてこの日は昼のデートということもあり結局最後まで手は繋げなかったけど…まぁ焦る必要は無かったのかもしれない…。
これから時間を掛けて互いの関係を築いていけば良いのだから。
大丈夫。きっと俺たちの関係はこの後も長く続いていく。
そう思いながら隣の宗平を見上げると宗平は少しだけ眉尻を下げて微笑んだ。
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