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4/16(木)
体育の授業でバスケのレイアップシュートなるものの練習をする列に並びながらぼんやりとこの間の土曜のことを思い出す。
俺と宗平は本当にどの授業でも顔を合わせることが無くなった。その上教室も違う階だし、昼食についても、宗平も俺も新しいクラスでせっかく出来たグループから離れないようにしようということで互いの教室で取ろうと話していた。
だが、宗平は部活も忙しくなるため土日も会いづらくなったという。
そんな話を聞いた俺は先週の土曜、会えないことがどうしても寂しくて宗平には黙って待ち伏せをしてみたのだけど…宗平は本当に喜んでくれたみたいでいつもより激しいキスをしてきた。
普段は学校でなんて…、と思うのだけど…あのままあそこで何かあっても良かったかも…、とかそんなことまで考えてしまう…。
「……。」
そうして自分の世界に浸りながら頬を赤くさせ俯いていると、瑛二が「具合悪いの?」と問い掛けながら顔を覗き込んできた。
「え?あ、ごめん。ちょっと…えっと…俺バスケも下手だから上手くできるか心配で…。」
そう言い訳をしながら列の中から先にシュートを放つ他生徒に目を向ける。
結構決めている人が多いが外している人も多い。
俺もきっと外すだろうなーとか思いながら見ていたら瑛二の番が来て…瑛二があっさりと成功させてしまったので俺は衝撃を受けた。
え、これって誰でも決まる系…?とかかなり失礼なことを考えていたら俺の番が来た。
やり方は…さっきボケッとしていたときに先生が説明していた気がするがよく覚えていない。
とりあえず見様見真似だ!と思い勢いよくボールをついたらなんとそれは俺の足に当たって虚しく転がって行った…。そしてどうやら俺の番はそのまま終了したらしい。
落ち込む俺に対し瑛二が優しくフォローを入れながら教えてくれるがそもそも歩きながらのドリブルができない。
どうやっても上手くいかない俺に「うーん。」と考え込んでいた瑛二が突然閃いたように顔を上げた。
「そうだ、長岡くんに教えてもらえば?」
それを聞いた俺は顔を青くして「はぁぁ!?」と叫んだ。
だがタイミングの悪いことにそんな会話をヤスくんが聞いていたらしく「クラス全員が仲良し!」が好きらしい彼は「良いじゃん!仲良くなるチャーンス!」と言いながら長岡に声を掛けた。
「何?」
ヤスくんに首根っこを掴まれながら連れてこられた俺を不審に見ながらも長岡は爽やかな笑みを崩さなくて俺は目を逸らしたまま黙る。
そんな俺をポイッと長岡の前に放り出すとヤスくんは「仲良くなるチャーンス!」とか言ってきた。
こいつ…!
仲なんてむしろ最近終わらせようとしたばかりだと言うのに…。
「…この後ミニゲームやるらしいんだけど俺も先生から『お前いたらゲームになんないから見学してろ。』とか言われてさぁ。宮田も抜けてあっちで練習しねぇ?」
そう言って長岡は気まずそうにする俺とは正反対に、親しみやすさを抱かせる笑みを浮かべる。
「嫌だ。」と答えようとした俺にヤスくんが「いつまで恥ずかしがってんだよぉ!」と冗談を言いながら背中を押した。
そうして1歩前に出た俺の手を長岡が掴む。
「ちょっ…。」
離そうと手を当てたが、掴まれたその手に力を込められると同時に長岡の方に引き寄せられた。
「んな頑なに拒否し続ける方が不自然だろうが。」
「っ…。」
長岡のその言葉は一理あって…結局押し黙ったままの俺は、大人しく長岡について隣のコートへと移動した。
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