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5/11(月)

ヤスくんが壇上に上がり黒板にいくつかの種目名を書いていく。 「ということで!今から体育祭でどの競技出たいか皆で決めてきます!ってことでまずは希望する競技に皆、名前書いて!」 そう言ってヤスくんがカタンとチョークを置くとわらわらとクラスメイトが前に出て名前を書いていく。 黒板に書かれた競技はレース系をメインに騎馬戦まで様々。この中から2つ選んで出場しないといけないらしい。 大縄跳びとムカデ競走は全員参加の必須競技のようだが…、さてどうしよう。 うーん、と黒板を眺める瑛二の横で同じように黒板を眺める。 「春人、ビーチフラッグクイズとか良いんじゃない?足遅くても頭良いからカバーできそう。」 「えぇ…いけるか…?てか体育祭なのにクイズってどういうこと…。」 できるか不安しか無いが借り物競争などの足の速度が関係無さそうな人気レース系は競争が激しい。不安を残しつつもビーチフラッグクイズの欄に名前を書いていると隣から「裕大は絶対騎馬戦だろー!身長めっちゃ有利じゃーん!」というヤスくんの大きな声が聞こえてきた。 ふぅん。長岡は騎馬戦か…。じゃあ俺はもう1個はそれを避けて…あの『自転車遅乗りレース』とかいうやつなら俺でも出来そうだしそれにしておこう。 そんな打算的なことを考えながら名前を書いて席に戻る。瑛二はピンポン玉レースと騎馬戦を希望し、そして長岡は騎馬戦とクラス対抗リレーを希望したらしい。 そして希望人数が枠を超えているところの調整を行う話し合いがヤスくん主導で開始された。ちょこちょことあっちの人数を減らしてこっちを増やしてこの人はこっちで…と、どんどん名前が書き換えられていく中、遂に自転車競走に書かれた俺の名前までもが標的になった。 「こういう競技は女の子の為のものでしょー。」 なんて紳士的なことをほざきながら同意も無くあっさりと俺の名前を消したヤスくんは「そんで宮田どれにするー?」と聞いてきた。 …というか、もう余っているのが不人気の騎馬戦しか無いじゃないか…。 「春人、一緒にやる?」 瑛二が気を遣ったように声を掛けてくれたので俺は渋々とそれに頷いた。 まぁ長岡と組まなきゃ良いだけのことだし…。と、思っていたらまたヤスの野郎が「宮田体力無いから上乗る人だよなー。」などと言い出した。ていうかクラス全員の前でなんでそんなに俺を貶めるの?俺実はすげぇ恨まれてる?なんて考えているとヤスくんは閃いたように俺の前に来ると肩に手を乗せてきた。 「宮田が裕大の上乗れば最強じゃん!宮田身長そこそこなのに軽そうだからいける!」 「は、あぁ!?」 遂には俺をけなしつつ長岡と組ませようとまでしてきたヤスくんに俺は思わず声を上げた。だが失礼な言動を繰り返すヤスくんを諌めたのは俺ではなく長岡だった。 「ヤス。宮田の話聞いてもねぇのに無理矢理話進めんなよ。」 長岡は席を立つと俺の前で1人で盛り上がっていたヤスくんに言い聞かせるように「宮田だって男なんだからそんな言われたら良い気しねぇって。」と小声で伝えていた…。その声は他のクラスメイトには届かなかったかもしれないが、正面にいた俺には聞こえていて…長岡に庇われたようで恥ずかしくなる。 「やべっ。俺またやっちまったな。ごめんな宮田〜!」 長岡に言われたヤスくんは素直に謝ってくれて、俺もそれには軽く応えておいたけど…、結局、騎馬戦で長岡と俺は一緒のグループにされていて…俺は頭を抱えた。

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