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5/16(土)

宗平が俺の誕生日にと連れてきてくれたのはプラネタリウム。しかも今回は部活後なので夜のデート。 聞けばプラネタリウムを見た後に少し街から外れた住宅街の坂を登ったところにある公園で本当の星を見ようという計画らしい。 向かう道すがら星が好きなのかと尋ねると宗平は「いや。単純にロマンチックだなって。」と返してきた。男2人でロマンチックとか言われても…、とか思う一方ですごく嬉しくなってしまう。 持ち上がりそうになる口角を一生懸命抑えて宗平を見ると宗平は「変な顔。」と言って笑った。 「変な顔で悪かったな。」 「んー?でもそういう顔も含めやっぱかわいいな。」 「っか……!?」 ぶすくれていたはずの俺は宗平の放った言葉に慌てて背筋を伸ばすと辺りを見回す。周りに人は多いが雑踏に宗平の発言は掻き消されていたようで誰もこちらを奇異の目などでは見ていない。良かった…。 一方の宗平は俺の心配を他所に落ち着いた様子で隣を歩いていて、少し悔しい気分になった。 到着したプラネタリウムは思ったよりも混雑していて席を見つけて暫くすると館内が暗くなり投影が開始される。今時分が春のため、多くの時間が春の星座についての説明だった。 『──このおおぐま座とこぐま座の親子には悲しい神話が隠されています。』 案外面白い星座それぞれのストーリーに耳を傾けていると、宗平が俺の手に自身の手を重ねてきた。それにドキッとして一瞬手を引っ込めそうになるが……館内は…映画館よりもずっと暗い。それに観客の多くは上に視線が向いているため、下方にある俺たちの手など意図的に見ようとしなければ見えないだろう…。 「……。」 静かに掌を上にして、宗平の手と指を絡める。 宗平は少しだけ指に力を込めて握り返し、親指の腹で俺の親指をさすってきて…それが擽ったくて、気持ちよかった。 暫くして投影が終わり、辺りに薄明かりが戻ってくると俺たちはまたどちらともなく手を離して館を後にすると予定通り夕飯を食べてから小高い場所に位置する公園へと移動した。 街並みを下に見るような位置にあるそこには時間のこともあるのか人影は無く、静かな空気が流れている。 「街明かりあるとやっぱちょっと見づらいんかな。」 空を見上げながら呟くと宗平は「そうでもないんじゃね?ほら、あれ北斗七星。」と空を指差す。 「ほんとだ。てことはあれがおおぐま座?」 「そうだな。で柄杓の部分を伸ばして…あぁ、あれがこぐま座か。」 「え?え?どれ??」 空を懸命に見ながら目を凝らす俺に宗平も一生懸命説明してくれたが…俺は結局よく分からないままで、とりあえずあれかな?と思ったものを見てウンウンと頷いておいた。

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