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6/2(火) 2

ビーチフラッグクイズは全部で8問出題されて、その内俺が解答も正解もできたのはたった1度だけだった。 それも『世界で1番遅く日付が変わる国は?』とかいう高校生の俺らにはなかなかコアな問題で、そんな感じの問題が7問も続いた後だったからか他の回答者たちが様子を見るようにして残していた解答権1番のフラッグを獲得してのものだった。 クラスメイトたちは1問でも正解してポイントを獲得できたことをかなり喜んでくれて「ここは真壁しかポイント取れないと思ってたからまじで感動した!!」と俺と、一緒に出場した真壁さんを労ってくれた。 やっぱり皆に何も期待されていなかったのは悲しいが、皆の反応に対する俺の感情は、嬉しさの方が勝った。 そしてビーチフラッグクイズ終了後は宗平と会うことになっているので待ち合わせの体育館前に向かった。 体育館前には宗平の周りに何人か人が居て、声を掛けて良いのかどうか迷ってしまう。 オロオロとしながら少し遠くから様子を見ていたが、暫くすると俺に気付いた宗平が輪の中から1人で出てきた。 「え、あの、良いのか?皆と話してたんじゃ…。」 「大丈夫大丈夫。どうする?教室行く?」 尋ねてきた宗平に答えようとすると、先程まで宗平が居た輪の中から「あいつさっきのビーチフラッグですげぇ足遅かった奴だ。」と嗤う声が聞こえてきた。 それを聞いた俺は恥ずかしくなって少し俯く。 「おーい、聞こえてる!」 だが、俯いた直後に宗平の少し不機嫌そうな声が聞こえて、俺は顔を上げた。 宗平は顔も同じように不機嫌さが滲み出ていて眉を寄せていた。途端に彼らはすごく焦った表情をして、それを見た宗平は彼らに近寄っていく。 え?え?もしかしてケンカか!?と焦って1人後ろでワタワタとしていると俺の予想に反し宗平は彼らの肩に腕を回した。 「つーか俺らも夏んなったら海行ってガチのビーチフラッグやってみねぇ?」 宗平のその言葉に彼らは一瞬呆けるが、すぐに我に返ると「いいな。皆で行こうぜ。」と言葉を返し、緊迫していたように思われた空気はすぐに和らいだ。 そして宗平はその後、2,3彼らと言葉を交わすとこちらに戻ってきた。 「んじゃ行くか。」 「……ん。」 廊下を歩きながら「ありがとう。」と伝えると宗平は「そんなんじゃねーって。」と笑いながら応える。 「てか春人最後の問題よく答え知ってたよな。皆驚いてたぞ。」 「前にクイズ番組でやってたの偶然覚えてただけで、別に…。」 「それでも覚えてんのがすげーって。俺無理だし。」 そう言って後ろを歩く俺に振り向いて笑う宗平。 俺は…きゅうっと胸を締め付けるような苦しさに呼吸がしづらくなるのを感じた。 あぁ、ここが学校じゃなくて、周りに誰もいなくて、昼間じゃなくて…俺と宗平の2人だけだったら…………。 そんなことを考えながら陽射しの差し込む校舎内を、宗平の背を見つめながら歩いた。

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