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「長岡…もう…俺、やだ…。」 教室での宗平とのやり取りを思い出して腕を掴まれただけでボロボロと泣き出した俺に対し、長岡は顔を顰めた。 「…言って楽んなるか、潔く別れちまえよ。」 長岡の声は同情のような慈しみのような柔らかさを含んでいる。 今だって俺を苛んでいるのは長岡なのに…。 「別れても…、俺は宗平を好きなままだっ!」 それに対し俺がイライラと、泣きながらも強く返すと長岡は更に眉間の皺を濃くする。 「『恋人としての笠井』に悪いと思ってるから苦しいんだろ。捨てちまえば、楽になれる。」 「っ…。」 甘い、誘惑のような言葉。酷い転嫁の仕方だが長岡の提案は魅惑的に響く。 でも… 「…別れたく、ない…。お願いだから…別の方法で…。」 涙を拭いながら懇願の言葉を口にしてみたのだが、長岡は俺の顎に手を添えると顔を上向かせ唇を重ねてきた。 「っ!…ゃ…なが…っ…。」 胸板を押す手は纏めて頭上に捕らえられ、長岡の部屋の扉に押し付けられる。抗議の声が漏れるのも許さないとばかりに長岡は何度も角度を変えて俺の言葉を飲み込んでいく。 そうして次第に体までも暴かれていく。 「やだ…!もうやだっ!」 泣き叫ぶようにまた口にすれば長岡は苛立ちを隠さずに俺をベッドに押し倒した。 それでも今日の俺は抵抗をやめなくて、手足をバタバタと動かす。 「っ別れれば、もう償いなんか求めねぇよ…。」 「っ…!?」 交換条件のように差し出されたその言葉に眉を寄せた。 何を言ってる?他の方法を求めても聞く耳を持ってくれなかったのに、宗平と別れればもう俺のことは許すと言うのか? だがそれでも俺はやっぱり宗平と別れるなどしたくなくて「嫌だ。」と言って首を横に振った。 それに長岡は舌打ちをすると「じゃあまだ大人しく抱かれてろよ。お前がそっちを選んだんだから。」と声を低くして言ってきて、その言葉によって縛られた俺の四肢はまたいつものように形ばかりの抵抗を繰り返した後に律動に合わせてユラユラと揺れた。 「ヤダ…、も…むりぃ…。」 もう何度イかされたのか分からない。 それでも長岡はまだやめなくて、執拗なくらいに俺の中を嬲る。 苦しさから逃れたくて…やはり瞼に浮かぶのはその人で…俺は飽きもせずにまた涙を流し、その名を呼ぶ。 だがそれを聞いた長岡は更に動きを激しくして、俺は呆気なくまた出もしない精を吐き出すように震えた。 だが、まだ終わりは見えない。 「も…ぐるじ…たずげて…宗平…やだぁ…。」 涙声で訴える俺を見下ろす瞳。 「宗平ぃ…。」 やがてそれが近付いてきて「うるさい」と言わんばかりに口で口を塞がれた。

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