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6/28(日)
「はじめまして!舞山瞬です。今日は来てくれてありがとねー!」
「…………………はじめまして。長岡裕大です。」
待ち合わせたアリーナ入口で元気いっぱいに挨拶したマイマイにニコリと笑って応えた長岡はその笑顔のまま俺の元に戻ってくるとガッと俺の首を締めるように腕を回してきた。
「おい。デートってどういうことだ?」
笑みはそのままだが、こうして至近距離になってみると若干青筋が浮いていることに気付いて長岡が怒っているのだと分かった。
「えっ…、だからマイ…山さんとデートしてもらおうと…。」
「ざけんなよお前。そもそもなんで『デート』っつって連れてくんのが男なんだよ。」
「え?男同士で出掛けんの『デート』って言うの…おかしい?」
「お前…。自分の彼氏だって元々ストレートのクセに男は総ホモみたいな考え方してんじゃねぇ。ぶっ飛ばすぞ。」
何だよ。出掛ける提案をした俺に『デート』の誘いかと聞いてきたのは長岡なのに…。
納得いかない表情で見上げる俺を、長岡は溜め息を吐いてから見下ろすと、とりあえずの状況説明を求める。
「舞山さんがお前のこと気になってるって言うから一緒に出掛けてもらおうと思って…。バスケの試合観戦だったら長岡だってつまんなくはないだろ?」
そう。マイマイと長岡を繋げる為に1番手っ取り早いのがデートをすることなのではないかという話になって今日のことをマイマイと計画しておいたのだ。
そして俺は仲介役。
マイマイはバスケの試合観戦が終わったらどうにかこうにか長岡を言いくるめてホテルにでも行く流れを作るつもりのようで…その頃には俺は姿を消す話になっている。
「舞山さん…すげぇ良い人だよ。」
「ふーん。」
定型文のような宣伝文句を口にした俺に長岡は俺の首を腕で締めたまま興味無さそうに相槌を打つ。
「本当だって。いつも俺が悩んでたらアドバイスくれるし、俺が今きちんと宗平に向き合えてるのも…舞山さんのお陰だし…。」
俺がフォローのようにそう言うと長岡は少しばかり首を回して「へぇ?」と言いながら見下ろしてきた。
ちなみに宗平には今日のことは話していない。
他の人も居るとは言え長岡と出掛ける訳だから宗平に相談すべきところではあったが…、ここ数日宗平とはあまり口を聞いていないので当然この話もしていない。そもそも宗平が居たら今日のこれは成立しなかったかもしれないし…うん、これで良かった。はず。
少し気まずくなって度々視線を泳がせていた俺を暫く見ていた長岡はパッと腕を外すとマイマイの元へと戻っていく。
「長岡?」
「とりあえずデートとして今日1日過ごせばお前の体面は保てる訳だろ。」
結局マイマイのことに興味は無いようだが、デートを続行するつもりではいるらしい。
マイマイとの相性の問題もあるし、とりあえず同じ時間を過ごしてくれるらしいことにホッと胸を撫で下ろした俺は、長岡の後に続いてマイマイの元に戻った。
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