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春人 4
晶が学校から居なくなり、晶の不在時に少し話をしていた生徒とも、晶のことが思い出されて深い付き合いを避けるようになった。
春人は晶の言っていた通り、本当に1人ぼっちになってしまった。
剣道部も礼真が言うので辞めてしまった。従わなかったら、何が起こるか分かったものではなかったから。
すっかり元気の無くなった春人だが、図書室で顔を合わせる度に礼真は嬉しそうにその頭を撫でた。
そうして2年生に進級した時のクラス替えで、1年の時に同じクラスだったということで声をかけてくることが多くなった生徒が1人居た。
遊びに誘われても断ったし、晶のように学校外で会うことはしない。
だが、礼真はそれすらも不快に感じたようだ。
「懲りねえな。春人は。」
訪れた礼真の部屋のソファに腰掛ける春人の横に礼真が腰を下ろす。
「…俺の…『特別』は礼真だけだから…。」
春人はそう言うが、礼真は更に「本当に分かってねぇな。」と言う。
礼真がこれ以上何を望んでいるのか、何を考えているのか、春人は最早分からなかったが、礼真に全て従う覚悟は出来ていた。
晶のように、もう誰かが犠牲になる姿など見たくなかったから。
「…春人。大人っぽくなったな。」
しかし次に礼真が言ってきたのはそんなこと。
「え…。そう?」
春人は動揺するが嬉しくなる。実際2年生に進級してから背がグンと伸びたし、目線の高さは礼真より少し低い程度。体付きも男らしくなったと思う。
褒められるのはむず痒かったが嬉しかった。「ありがとう。」と答えた春人に礼真は笑う。
そして──……
「春人。エッチしよ。」
「───……え…?」
突然出された提案に春人は理解が追いつかなくなった。
呆然としたまま「…俺…男…だけど…?」と呟くように言って礼真の真意を確認する。
「男同士でも出来んだよ。知らねーの?ここ使ってさ…。」
そう言って抱き寄せながら礼真が春人の後孔を服の上から押した。
反射のように震えた春人はすぐさま礼真から離れようと腕を突っ撥ねるが、礼真にグッと腕を掴まれ逆に距離を詰められてしまう。
間近で覗き込む礼真の目から逃げるように顔を背ける。
「っや…やだ!やだやだ!無理!!」
「無理じゃねーよ。春人が相手してくんねーなら…、そうだなー…。とりあえず今隣の席になってる子にでも相手してもらうかな。」
「!?」
「あ、でも好みの子じゃなかったらちょーっと雑に扱っちゃうかも。」
言葉の最後に礼真はまた春人のよく知る優しい笑みを浮かべるが、春人はそれがもう全く知らない誰かの笑みに見えて仕方がなかった。
春人を救ってくれた礼真は、いつからか春人を苦しめる男に変わっていた。
「も…やめて…くれ…。」
喉から絞り出した懇願。
春人は、礼真の服を皺が付くほどに強く強く掴んだ。
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