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5/24(日)
昨日の約束通り、俺たちは、今日、……するらしい。
「よ。上がって。」
「を…お邪魔…します…。」
呼ばれたのは宗平の家。
今日は両親が幸広くんを連れて外出しているとのことだ。
別に宗平の家に来るのは初めてではないのに、俺は朝からずっと落ち着かなくて、今日もここに来るまで何回躓いたか分からない。
トス…、と宗平が俺の横に腰掛けてテレビを点けたその動作にすらなんだか緊張してしまう。
「……。」
さっきから何も喋れていない俺に、宗平も何も喋りかけて来ない。ただテレビの音だけが室内に響く。
しかし不意に宗平が「飲み物用意すんの忘れてた。」と言いながら動いて、驚いた俺は大きく体を跳ねさせた。
そんな俺に、宗平が驚いている。
宗平は立ち上がりかけていた膝を再び床に下ろすと俺が背を預けていたベッドに手をかけて俺を見下ろす。
「……、緊張してる?」
見上げると宗平と目が合った。だんだんと狭まる距離が、更に鼓動を跳ねさせる。
「…宗平はしてないのかよ…。」
宗平に俺の鼓動は聞こえているだろうか?
宗平にも聞こえれば良い。伝われば良い。宗平と1つの鼓動を分け合いたいなんて、訳の分からない思考まで浮かんでくる。
「緊張、っていうか…、嬉しくて心臓もたなそう。」
そう言った宗平との距離が無くなる。
するの自体は2度目だけど、キスはもう何度もしている。
それでも今日のこのキスは、なんだかとても特別なものに感じた。
しかしベッドに上がろうか、というタイミングで何故か宗平が俺から離れて行った。
「え…、なんで?」
ショックを受けながら見ると宗平は「いや、だって…。」と言ってから気まずそうに口を開く。
「…前の時だって家着いてすぐヤッて…、なんかそればっかになっちまったから…、今回はちゃんとしてぇなって…。」
「え?……え?」
宗平から言われたその言葉に俺は思わず吹き出した。
『ちゃんと』って、なんだよ。
笑いの収まらない俺を宗平が「笑いすぎ。」と言いながら鼻をつまんできた。や、やめてくれ…。
「だって春人、引かねぇの?俺がなんか…体目的みてぇ、とか。」
「引かねぇよ。宗平が体目的とか無いだろ。」
宗平の言葉が、嬉しい。
呼吸を整えてから宗平を見る。
「…大丈夫だよ。宗平が俺のこと大事に思ってくれてんの、ちゃんと伝わってる。でもその…別にいきなりそういう流れになったって今日は気にしないっていうか…。だって今日は……そういう日だったろ?」
「……?」
なんでここで伝わんないんだよ!
一生懸命伝えたつもりなのに目の前には?顔の宗平。
ガッと宗平の腕を掴んで引き上げてから自重に任せてベッドに倒れ込む。宗平に押し倒されたような体勢を、自ら作り上げた。
「…俺も、宗平と今すぐしてぇの!」
そう言ってからキスをしようと宗平の頬を両手で包むと俺が引き寄せるより先に宗平がキスをしてきた。
「んっ、む…。」
舌で口の中を掻き混ぜられるようなキス。すぐに唾液が口の端から溢れ、離れた宗平の口元からは細い糸がタラりと垂れた。
「…今日のこれは煽ってるよな?」
「……そう思ってくれなかったらさすがに怒る。」
尋ねてきた宗平に拗ねた表情を作りながら答えると、宗平は「それは困るな。」と笑った。
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