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7/18(土)
今日は宗平と外に出てのデート。
と言っても海に行くのに何か必要なんじゃないかってことで、特に買い物リストも作ってないのにぶらりと出掛けてみただけなのだけど。
「ビーチボールとか…する?」
「春人出来なそうだからいーや。」
安物のビーチボールを手に取りながら問い掛けた俺に宗平があまりに正直に答えるので俺は展示用に膨らませてあるそれをバシリと宗平に向かって投げ付けた。…まぁそれは「ハハハ」と笑われながらあっさり受け止められてしまったのだけど。
「とりあえず必需品としてビーサンとシートだろ…。タオルと水着は家にあるし…あとは?」
歩きながら指を折って考える俺に「んー。」と唸った後に周りを見回した宗平は「あ。」と何かを見付けたように歩き出す。
「?」
ついて行ってみるとそこには防水腕時計のコーナー。
「たっけー。これって防水だから高ぇの?腕時計の元値が高ぇの?」
腕時計を見ながら小声で叫んだ宗平に「えっ、分かんねぇけど…どっちもじゃね?」と答えると「そっか。」と言いながら宗平はまた視線を戻した。
「そういや春人もたまに腕時計付けて学校来てたよな。普段はしてねぇみたいだけど。」
ショーケースを見ながら突然に言ってきた宗平にビクリと肩が跳ねた。
な、なんでここでその話に…?いや、流れからしたら不自然では無いが…。
だが俺のその反応を見た宗平が首を傾げる。
「…どした?」
「…や、別に…。」
気まずくなって視線を逸らした俺を暫く見た後、宗平は突然に俺の両腕を取った。
「っな、なに…!?」
その行動に俺はびっくりして宗平を見上げる。
すると宗平は俺の両手首をギュッと掴んでそれを合わせるように引き寄せた。
「…今考えりゃ腕時計してた時期って必ず反対にも何か付けてたよな…。」
「っ…。」
答えない俺の両腕を暫く合わせたまま宗平は「そういうことだった訳な。」と呟く。
なんか最近、勘良くなってないか…?
腕時計を最後に学校にして行ったのは…もう随分前のことになる。長岡に縛られた腕の痕を隠す為に付けていた腕時計。
あまり良い思い出ではないし、こんなタイミングでは思い出したくなかった…。
だが俯いた俺に宗平が「いつか働いて金貯めたら同じ腕時計買おっか。」と提案して来る。
「…へ?何、突然。」
「いや、なんとなく思ったから。あ、重い?」
宗平は軽く笑い飛ばすように尋ねる。
高校生の頃からこんな話をするのは重いのだろうか…。
でも……。
「いや、嬉しい…。…こういう時計買えるくらいの歳になっても…宗平と一緒に居れたら良いって…俺も思うし。」
ボソボソとそう答えると宗平は少し目をぱちくりさせ、そして「そっか?」と言って明るく笑った。
それは俺の大好きな笑み。
そして俺はまたずっとこの笑顔の隣に居たいと願いそれに笑い返した。
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