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「っ……」  深島さんと肌を重ねたのは一度や二度ではない。勝手知ったると言わんばかりに、深島さんは僕のイイトコロを攻め立ててくる。あっという間に欲は熱を持ち、いきり立つ。  それを見た深島さんは、恍惚の表情を浮かべた。興奮からか、それとも単に酔っているからなのか、彼の顔は赤い。 「ななみ」  深島さんは口淫から手淫に切り替え、顔を僕の近くへと持ってきてキスをねだる。 「んっ……」  激しい水音のする、深いキス。深島さん自身が、わざと音を立ててるようにも思える。けれど、それを聞いてみようにも、少し口を開けばすぐに深島さんの舌が僕の口内をじっとりと犯してくる。絡められた舌から伝わる快感に、音のことなんかどうでもよくなってくる。  僕は横にある机に深島さんが頭をぶつけないように気を付けながら、そのまま彼を床へと押し倒した。  キスをしている間も、深島さんの手は止まらない。 「み、しまさん。待っ、て……!」 「何? ここまで来て、まだダメだって言うのか?」  深島さんのうるんだ瞳は熱に侵されていて、その(まなこ)で僕を見つめてくる。はあ、と震える少し酒臭い吐息は、完全に発情したそれだった。 「ち、違います……!」  興奮で震え、力が入らないながらも、僕の昂りをしごく彼の手を握ると、流石に分かってもらえたようだった。  深島さんはそんな僕の手を取ると、今度はその手を先ほどの口淫のように、ねっとりとなめてくる。いたずら心に従って、深島さんの上あごを人差し指と中指で軽く撫でると、彼はくすぐったそうに目を細めた。 「な、なみ……」  深島さんが舐めている方とは逆の左手で、深島さんのベルトを外す。片手でベルトを外せるようになるなんて、器用になったものだ。深島さんと付き合う前は、そんなことは絶対にできなかった。変なところで『染まったな』ということを実感する。  ベルトが外れたのに気が付いた深島さんは、軽く腰を浮かせてくる。おかげで簡単にスラックスとパンツを脱がすことができた。  ――のだが。 「深島さん……本当に大丈夫ですか?」  下半身を暴かれ、深島さんのソレがさらしだされるのだが、僕のと違い、平常時と何ら変わりない。この人は、酒に酔うと本当に()たなくなってしまう。()れる側ではないとはいえ、情事の際に欲を吐き出せない、というのはつらくないのだろうか。  しかし、深島さんは僕の心配をよそに、進行を止めようとはしない。 「七見、大丈夫だから……。なあ、早く……」  深島さんが、待てない、と言わんばかりに自らの(すぼ)まりに深島さんの唾液で濡れた僕の手を、持って行った。そこまでされてしまっては、僕だっていつまでも大丈夫ですか、なんて言ってられない。余裕なんて、いつまでも続くものじゃない。  唾液でぬれているおかげで、それなりに滑りよく深島さんの中に、僕の人差し指が入る。  まだ指を一本しか入れていないのに、きゅうきゅうと締め付けてくる。萎えている前のものからは想像できないくらい、興奮しているようだ。   「なな、みぃ……んっ、うぅ……」  深島さんの腸壁を優しく擦るたび、軽く開いた彼の脚がぴくん、と動く。  指を増やし、押し広げるように秘穴をいじれば、深島さんの声がだんだんと大きくなる。と、ある一点に指先が上がると、一際高い嬌声を上げた。 「深島さん、ここ好きですよね」 「あ、あっ……な、ぁみ……っ! ふ、ぅ……んっ」  がくがくと、深島さんの腰が揺れる。 「まっ……ななみ、なんかっ……変……っ」 「深島さん?」  怖い、と深島さんが手を伸ばしてくるので、僕は抱きつきやすいようにと上半身を軽く前に押し倒す。するり、と首に伸びてきた深島さんの腕は震えていた。  普段あまり見ない様子に、僕は一度引き抜いたほうがいいだろうか、と指を動かす。が、抜き方が悪かったようで、軽く曲げていた指の関節が、深島さんの強く快感を引き出す場所にあたってしまったようで。  びく、と深島さんの上半身が大きく、弓なりに反る。 「あ、あ……」  詰まってしまって、息がうまく吐けないような、そんな余裕のない喘ぎ声が聞こえてくる。  深島さんのナカはきゅう、とうごめいていて。これじゃまるで――。 「深島さん……? イったの?」  萎えた前は熱を吐き出していない。けれども、ナカの痙攣具合は、まさに絶頂を迎えた時と何ら変わりはなかった。 「わか、な……い」  浅い息を繰り返しながら、深島さんは首を軽く横に振る。 「ドライ、ってやつかな……。男でも、前立腺をいじると女性のような快感を得られるって聞いたことが。でも、人によっては体がつらくなるらしいですから……今日はもうやめますか?」  正直、僕自身もだいぶ辛いのだが、好きな相手を無理やりに抱く趣味はない。  しかし、深島さんは再び、軽く首を左右に動かした。 「やだ」  言葉は、端的に発せられた。 「ななみが、ほしい」  子供のようなその言いぶりに、気が付けば僕は、一気に深島さんを貫いていた。

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