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再会

(見られた、見られた、見られた!!)  シオンは、困惑の中走っていた。  驚き道を開ける人々が皆、自身の顔を見ているような気がして、必死に下を向く。  無表情の裏に常に隠していた表情が今、浮き彫りになっていた。  しかも最悪なことに、その表情をよりにもよってオルガに見られたのだ。  一番、見られたくなかった相手……自身の激しい感情を引きずり出される彼に、見せてはいけなかった表情を。  唇を引き結び、顔の赤が引くように表面上はいつも通りの無表情になるよう心がける。 (今はとりあえず、あの少年だ)  オルガの事は頭の隅に追いやり、さっき見かけた少年に思考を移行する。  目にしたときの衝撃が忘れられない。  会いたかった、何度その姿を夢見たか。  その顔をちゃんと正面から見たわけではない。  あの時は、そんな状況じゃなかった。  だから確信はない……けれど、妙に納得してしまったのだ。 ――あの人だ、と。  だから、赤髪を求めて周りを見渡す。  そしてそれは、すぐに見つけられた。 「あの!」  声を、かける。  震えた声は届いているか不安だったが、こちらを振り向いた彼は目を見開き、そして静かに囁いた。 「来て」 と。 「あの……ここは?」  背を向け歩き始めた彼――零帝についていけば、何やら古びた建物に入った。 「おかえり!」 「ただいま」  女主人らしき人に挨拶し、零帝はどんどん進む。  ギシギシと音の鳴る階段を上がり、二番目の部屋を鍵を取り出し開け、シオンの入室を促し自身も後に続いた。 「ここ、今僕が借りてる部屋」  ドアを閉めた途端、零帝は無視されたように思われたシオンの問いに返事を返し、部屋全体に防音の結界を張った。  そしてシオンと向き合い、僅かな笑みを讃える。 「久しぶりですね、風帝」  その瞬間、堪えていた涙がとめどなく溢れ、思い切り零帝に飛びついていた。

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