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雨
「零帝様……どこに、おられるのですか……」
リースは、学園のそばにある街に訪れていた。
零帝が暮らしていた場所、もしかしたらどこかに戻っているかもしれない。
そう思い捜索するも、どこにも見当たらない。
赤の髪を、リースは探していた。
髪色は自身の属性の色が出ることが多い。
零帝は全属性を扱えたが、その中でも火属性を得意としていた。なのできっと赤髪だと思い探しているが、中々それらしき人物がいない。
「はぁ」
次はどこを捜索しようかと上を向いたところで、運悪く雨が降り出す。
転移を使い移動を重ねていたため、リースの魔力はもう少なかった。
雨を凌ぐ結界を張るのはよし、リースは近くの閉められた店の下で雨宿りをすることにした。
「あれ、リースか?」
そこで通りかかったのは、炎帝であり担任のカーリア。
それと、ギルドマスターのイルク。
「珍しいですね、マスターが外出しているのは」
ギルドマスターは基本的に書類作業が多い。
なのでギルドマスター室に篭っていることが多いのだが……なぜか、しっかりと手を繋いで歩いていた。
「そろそろ、離してください」
リースが手を見ているのを目にし、イルクがカーリアに言う。
「何でだよ。繋いどこうぜ、どうせ雨だ。リースしか見てねぇよ」
無属性である雨を凌ぐ結界は中級に指定されており、一般市民では使えない。
魔法学園の卒業生でも扱えない者が何人かいるため、皆急いで自宅か店に入っていった。
なのでここら辺では、確かに見ているのはリースだけということになる。
「水帝が、見てるじゃないですか……」
恥ずかしそうに俯きながら、イルクは囁いた。
「いいですよ、別に。繋いでても」
「ですが……」
「んじゃ、行くか。何、お前魔力切れ? 結界張ってやろうか?」
「…………」
からかうように言ったカーリアにジト目を送り、見かねたイルクがリースに結界をかける。
「ありがとうございます」
「いいえ。これからギルドに行くんですけど、貴方も来ますか?」
「はい、行きます」
どうせ魔力切れだ、転移はもう使えなく、雨が降ってきたため結界がないと歩けない。
大人しく二人についていくことにし、リースは頬を染めたイルクとそれを温かく見つめるカーリアの後ろからギルドを目指した。
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