23 / 28

「零帝様……どこに、おられるのですか……」  リースは、学園のそばにある街に訪れていた。  零帝が暮らしていた場所、もしかしたらどこかに戻っているかもしれない。  そう思い捜索するも、どこにも見当たらない。  赤の髪を、リースは探していた。  髪色は自身の属性の色が出ることが多い。  零帝は全属性を扱えたが、その中でも火属性を得意としていた。なのできっと赤髪だと思い探しているが、中々それらしき人物がいない。 「はぁ」  次はどこを捜索しようかと上を向いたところで、運悪く雨が降り出す。  転移を使い移動を重ねていたため、リースの魔力はもう少なかった。  雨を凌ぐ結界を張るのはよし、リースは近くの閉められた店の下で雨宿りをすることにした。 「あれ、リースか?」  そこで通りかかったのは、炎帝であり担任のカーリア。  それと、ギルドマスターのイルク。 「珍しいですね、マスターが外出しているのは」  ギルドマスターは基本的に書類作業が多い。  なのでギルドマスター室に篭っていることが多いのだが……なぜか、しっかりと手を繋いで歩いていた。 「そろそろ、離してください」  リースが手を見ているのを目にし、イルクがカーリアに言う。 「何でだよ。繋いどこうぜ、どうせ雨だ。リースしか見てねぇよ」  無属性である雨を凌ぐ結界は中級に指定されており、一般市民では使えない。  魔法学園の卒業生でも扱えない者が何人かいるため、皆急いで自宅か店に入っていった。  なのでここら辺では、確かに見ているのはリースだけということになる。 「水帝が、見てるじゃないですか……」  恥ずかしそうに俯きながら、イルクは囁いた。 「いいですよ、別に。繋いでても」 「ですが……」 「んじゃ、行くか。何、お前魔力切れ? 結界張ってやろうか?」 「…………」  からかうように言ったカーリアにジト目を送り、見かねたイルクがリースに結界をかける。 「ありがとうございます」 「いいえ。これからギルドに行くんですけど、貴方も来ますか?」 「はい、行きます」  どうせ魔力切れだ、転移はもう使えなく、雨が降ってきたため結界がないと歩けない。  大人しく二人についていくことにし、リースは頬を染めたイルクとそれを温かく見つめるカーリアの後ろからギルドを目指した。

ともだちにシェアしよう!