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薬屋
「ア〜ル〜!!」
ドアを開けた途端、勢いよく少年が飛び出してきた。
「……ノト」
それを受け止め、その人物を確認する。
黄土色の髪に、薄黄緑色の瞳。サラサラヘアで童顔な、元気いっぱいの男の子。
ノト・クブリ。
ここ、人通りの少なくなった通りにある、古ぼけた小屋みたいな薬屋の、店長の息子である。
「アル、久しぶり! 二ヶ月ぶりくらい? 全然顔出さないんだもん、もう本当、寂しかった〜!」
抱きついたままノトは言い、頭をグリグリと押し付ける。
「はいはい、わかったからもう、中入れて?」
「えー、アル冷たい!」
そう言いながらも彼は僕を離し、手を引き中に連れて行く。
「今日もいつも通りだよね?」
「そう。それと、学園に通うことになったから、挨拶と思って」
「え、学園って、イスリーヌ魔法学園!?」
目を見開きこちら見るノトに、僕は頷いた。
「じゃあこれからはもっと、アルに会えるってこと?」
真剣な目を向け、ノトは僕をじっと見つめる。
それを受け止め、笑顔で僕は彼の頭を撫でた。
「そうだね。前よりは、顔を出そうかな」
そう言った途端、しばし彼は固まり、そして溢れる感情をそのままに僕に飛びつく。
「やったーー!!!」
「わっ」
「アル、大好き!!!!!」
強く背中に腕を回され、頰に口付けられた。
「やめてよ」
「挨拶だよ。ちゃんとアルの好きな人は分かってるから、安心して」
そう言ってにこりと彼は笑い、再び僕の手を引き、商品が並べられている戸棚を抜け、奥の部屋へと入っていった。
そして店番をするため、僕に手を振りまた店の方に歩いていく。
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