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1-定時連絡
初めまして。三鷹由紀です。
不本意ながら神崎零 の幼馴染です。奴は脳みそがゼロなので、俺はゼロと呼んでいます。
今後たまにお会いすることがあるかと思います。よろしくお願いします。
昼休み中に暇をつぶしていたら、メッセージを受信しました。
恋人の隼人さんかと思ってるんるんで見たら、ゼロでした。既読スルーします。
零>>『ゆっきー♡』
零>>『ご機嫌いかが?』
零>>『ねえゆっきーてば』
零>>『もう!』
零>>『アタシのこと捨てたの!?』
零>>『しょせんアタシは遊びだったのね……』
無視しても止まりそうにありません。
しかたがないので返信します。
由紀>『なんですか』
由紀>『セールスなら間に合ってます』
零>>『ううん、違うの。ア・タ・シ』
由紀>『だから間に合ってます』
零>>『もうちょっと優しくしてよー』
零>>『今傷心のゼロたんなんだからさあ』
由紀>『飛び降りるならいい崖紹介しますよ』
由紀>『最期はやっぱり綺麗な景色のところがいいですよね』
零>>『いや、やっぱ思い出の場所っしょ』
零>>『ゆっきーと昔遊んだ裏山とか』
由紀>『あれ丘ですよ』
由紀>『どう頑張っても死ねませんよ』
零>>『いや、吊るとか』
零>>『まあブラックジョークはこれくらいにして』
零>>『ちょっと聞いて欲しいのさ』
由紀>『……』
零>>『ふられた』
零>>『超本気だったのに』
零>>『いい雰囲気だったのに』
零>>『そういう目では見られないって言われた』
零>>『まじもう無理』
零>>『立ち直れない』
由紀>『どうせノンケの男性の方でしょう?』
零>>『そうだけど』
由紀>『なんでそう無茶をするんですか』
零>>『だって好きだったんだもん』
零>>『超大人でかっこよくて』
零>>『俺のことも可愛がってくれてたんだもん』
零>>『いけると思うっしょ』
零>>『いやいけたはず』
零>>『タイミングが悪かったんだな』
零>>『午後の眠い時間帯だったからな』
由紀>『なんでそこまで前向きになれるんですか』
零>>『ポジティブシンキング大事よ』
由紀>『そうですけど』
由紀>『ストーカーになって捕まらないでくださいね』
由紀>『警察に迎えに行くの嫌なんで』
零>>『いや大丈夫』
零>>『法に触れないようにやるから』
零>>『てか俺のどこが駄目なの』
零>>『こんなイケメンどこ探したっていないのに』
由紀>『そのメンの部分が駄目だったんじゃないですか』
零>>『えー』
零>>『根本否定かよ』
零>>『そんな冷たい人じゃないもん』
零>>『包容力抜群だもん』
由紀>『いや、包容力でカバーできる問題じゃないですから』
零>>『ぐすん』
零>>『じゃあアタシどうしたらいいの』
由紀>『その人のことは忘れてください』
零>>『無理』
零>>『上司だもん』
零>>『今も目の前にいるもん』
零>>『めちゃかっこいいもん』
零>>『大人の色気?ていうの?』
由紀>『無茶しましたね』
由紀>『異動をおすすめします』
零>>『いやよ』
零>>『アタシにはあの人しかいないの』
零>>『ゆっきーだって隼人きゅん以外考えられないっしょ?』
由紀>『当たり前です』
由紀>『隼人さんにふられたら俺死にます』
零>>『ほら』
零>>『てゆか隼人くんももともとノンケじゃなかったっけ』
由紀>『そうですけど』
由紀>『愛で乗り越えました。ふふ』
零>>『なんでゆっきーは良くて俺は駄目なんだよお』
由紀>『人柄ですかね』
由紀>『日頃の行いがいいので』
零>>『俺だって毎日頑張ってるもん』
零>>『どんなに眠くても仕事中居眠りしてないもん』
由紀>『あーえらいえらい』
零>>『でしょ』
由紀>『そんなわけないでしょう』
由紀>『諦めて別の方を探すことをお勧めします』
由紀>『趣味が合う方を』
零>>『んじゃゆっきー付き合って』
由紀>『無理』
零>>『なんでよー!』
零>>『小さいころはあんなに俺のこと好きって言ってくれてたじゃん』
零>>『ケッコンしてくれるって』
零>>『誓いのちゅーもしたじゃん』
由紀>『記憶の改ざんをしないでください』
由紀>『誓ってません』
由紀>『俺には隼人さんがいるので』
由紀>『それ以前に脳ミソゼロの人とか無理』
零>>『無理ってなによー』
零>>『一応これでも稼いでるのよ』
零>>『後輩にも結構慕われてるのよ』
由紀>『無理なものは無理です』
零>>『はあ……』
零>>『諦めるか』
由紀>『今日は物分かりがいいですね』
零>>『って諦められるかーい』
由紀>『そうですか』
零>>『俺も愛で乗り越える』
零>>『男同士は無理って固定観念がだめなのよ』
零>>『そこから克服する』
由紀>『難しいと思いますけど』
零>>『ゆっきーにできて俺にできないことはない』
由紀>『大した自信ですね』
由紀>『人に迷惑をかけない程度にしてくださいね』
由紀>『警察には迎えに行きませんからね』
零>>『任せて』
零>>『んじゃ、お昼休みとっくに終わってたから』
零>>『ばいばい』
由紀>『仕事してください』
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