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3- 復習のお時間です(3)

それから俺たちは、いくつか取り決めをした。  1.会社の人間には俺たちの関係を話さないこと。  2.俺以外に無駄に愛想を振りまかないこと。  3.あくまでペットとしての本分を忘れないこと。   (恋人じゃない!少なくとも俺が慣れるまでは) 2は完全に俺のわがままだが、神崎は特に何も言わなかった。 3については神崎は不満そうだったが、自分で言いだしたことなので了承した。 「じゃあ、じゃあ、今度の休み、槙野さんの家に行ってもいいですか?」 「え、なんでそうなる」 「半室内飼いってことで。いいじゃないですか。槙野さんがどんなとこに住んでるのか知りたいんです。猫にも会いたいし。お友達?兄弟?になるわけだし」 「ああ、鈴な」 「鈴ちゃんっていうんですか?女の子なんですね」 「まあな。うち、散らかってるけど文句言うなよ」 そういうと、神崎はにやにやした。 「あー、絶対そう言って散らかってないパターンのやつだ」 「何言ってるんだ。本気だぞ」 鈴のおもちゃとか、本とか、物が多いからな。でも神崎は信じてなさそうだった。 ◇ ◇ ◇ この奇妙な関係のおかげで、少なくとも俺の独占欲は満足した。 後は神崎の笑顔だけだが、こればっかりは会社ではどうにもならない。 しかも神崎の言う「ご主人様」になってから、神崎の笑顔が増した。 おかげで俺は毎日数回は心の中で悶絶することになった。 結構苦しいぞ、これ。 顔色を変えるわけにいかないから、傍目から見たら、神崎が愛想よくしてるのに俺だけ不愛想という大変に感じの悪い構図になる。 まあ、俺が不愛想で感じが悪いのは元からだから、それが少し増したってだけなのかもしれないが。 神崎のところに質問に来た高橋が何か言っている。 「最近、神崎さんご機嫌ですね」 「そ?」 「はい。いつも笑顔じゃないですか」 「まじかー。顔に出てるかぁ」 神崎が照れたように顔を両手で押さえる。 「何かいいことでもあったんですか?」 「ん?んー。秘密」 「あ、彼女できました?好きな人がいるってこないだ歓迎会で言ってましたよね」 高橋が神崎に指を突き付ける。神崎は笑って流した。 「ふふん。だから秘密だってば」 耐えきれなくなった俺は神崎に声をかけた。 「おい神崎」 「はいはい」 にっこり笑顔で神崎が会話を中断して振り返る。 「はいは一回でいい」 「はい」 「後で進捗確認したいんだが、いいか」 「もちろんいつでもOKです。スケジュール入れときますね」 「ああ」 こっちの気も知らないで、すがすがしいくらい可愛い笑顔を向けやがる。 どうしたものか。

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