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5- 公園デビュー!(3)

枝豆の狂宴から一夜明けて土曜日。 早朝から鈴に胸と腹を念入りに踏みつけられ、強制的に起こされた。 「鈴、鈴、頼むから肋骨踏むのは止めてくれ」 いかに可愛い鈴の魅惑の肉球がぷにぷにであっても、あまり肉のついていない俺の体は鈴の小さな足でごりごり踏まれると、軋む。 俺が目を覚ましたことを見てとった鈴は、一声鳴いた。 どうやら姫君はご機嫌斜めだ。 「どうしたんだ鈴。何が気に入らない……」 言いかけたところで、離れたところにあるテーブルに置いていた携帯が震えた。 「なぁお」 振動でテーブルの天板と触れあって耳障りな音を立てる。 俺の上から飛び降りた鈴は、早くなんとかしろとばかりに、携帯を鼻先でこちらに押しやる。 テーブルから押し出された携帯を受け止めて、俺は電話に出た。 「おい、今何時だと思ってる」 『あ、やっと出てくれたー。おはようございます。8時です』 能天気な神崎の声が鼓膜を揺らす。 「この時間は俺はまだ寝てるんだ。覚えとけ。鈴もうるさいって怒ってるぞ」 「んな」 聞こえてるのか、名前に反応しただけなのか、鈴が膝に飛び乗ってきて相槌をうった。 『う、すみません』 「で?何の用だ」 『今日槙野さんとこに遊びに行ってもいいですか?』 「11時以降なら構わない」 『11時?槙野さんって意外とお寝坊さんですね』 「いいだろ。これから鈴のご機嫌とって寝直すんだから」 『了解です!じゃあ11時過ぎにうかがいまーす』 「ああ」 通話を切って携帯を枕元に置き、膝の上で丸くなった鈴の顎をくすぐる。 金色の眼を細めた鈴はごろごろと喉を鳴らし始めた。 俺が手を止めると、催促するように俺の手に頭をすり付けてくる。 可愛い。 「気持ちいいのかな、お姫様?」 ぐるぐる、と返答があった。 鈴の気がすむまで撫でてやり、鈴が俺の膝から降りて傍らに丸くなったところで、俺ももう一度寝ることにした。 10時半にアラームを設定して、鈴の温もりを借りてうとうとした。

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