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5- 公園デビュー!(6)
「実は槙野さんを遠出(デート)に誘うために、いろいろ資料を持ってきたんですよー」
そう、神崎は今日、よく使ってるボディバッグに加えてA4サイズのトートバッグを持ってきていた。
「あんまり遠くには行けないよなーって思って、日帰りで行ける範囲でガイドブック借りてきました」
3、4冊をどさっと床の上に広げて見せる。
どれも近郊の避暑地や娯楽施設の充実した地域だ。
「あんまり騒がしくないとこの方がいいですよね?」
「そうだな」
すでに一通り目を通してあるらしく、どの雑誌にも何枚か付箋が貼ってある。
俺も手を伸ばしてぱらぱらとページをめくってみる。
スイーツ紹介に、遊園地、水族館、動物園、自然公園etc……。
「こういう旅行雑誌見るのも久しぶりですよー」
「そうだな。俺もだ……って神崎はレジャー好きそうなイメージだったんだが、行かないのか」
「好きなんですけどね。なかなか機会がなくて」
「ふーん」
「……うーん、お勧めがあったんですけどねー。どこだったかな」
ぶつぶつ言いながら雑誌をとっかえひっかえしている。
やがてお目当ての記事を見つけたらしい。
「あ、ここ!この辺楽しそうじゃないですか?アルパカいるし、カピバラさんの温泉もありますよ!!」
神崎が見せたのは高原にある自然公園で、小さな動物園と牧場が併設されているところだった。
俺は冗談で手に持っていた雑誌を見せる。
「こっちの方がお前向きじゃないか?広いドッグランがある」
「わあい!楽しそう!って走りませんからね。か弱いSEに犬と一緒に駆け回れとか鬼!だめです!こっちの公園に決定です」
神崎がノリツッコミしてふくれて見せるが、目は笑っている。
「いいよ。そうしよう。……俺、車も免許もないが、大丈夫か?」
「大丈夫、任せてください!」
という訳で、来週土曜日にデート(遠出)、いや間違えた遠出(デート)することが決定した。
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