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5- 公園デビュー!(9)
山道を少し登って、緑が色濃い道をしばらく走ったかと思うと、もう目的地らしい。
「着きますよー」
駐車場に入った神崎は、空いている場所を探すとバックで駐車した。
俺の座っているシートの肩を掴むと体を捻って後ろを見ながら、慎重に車を下げていく。
シートを掴まれドキッとして神崎をちらりと横目で見た俺は、神崎の捻った首筋と、ハンドルを握った筋ばった手に図らずも男の色気を感じてしまった。
この気持ちをどうしたものかと手に余らせていると、神崎が俺を見てにこっと笑った。
「到着です!お疲れさまでしたー」
「神崎こそお疲れ」
車を降りると、思わず伸びをした。
車を挟んだ反対側でも神崎が両腕を上げていて、思わず目を合わせて笑ってしまった。
「どーしますー?まだ昼食にするには早いですよね」
「そうだな。どこか見てからにしようか」
神崎が近くにあった案内図を眺めている。
「動物園先に行きましょう!近いから!で、戻ってきてお弁当持って公園でお昼。最後に牧場」
「いいんじゃないか」
動物園は、規模のわりにはなかなかの人出だった。
おかげで、いい年した男二人組でも特には目立たない。
気にしているわけではないが。
「もー。槙野さんいつまでマヌルネコ見てるんですかー」
「ん、もうちょっと」
「この先、まだアムールネコとかいますよー可愛いですよーどうすんですか」
「困ったな」
「困ったのは槙野さんでしょー。帰ったら鈴ちゃんに言いつけますよ?よその子にメロメロだったって」
メロメロってお前。
でも、マヌルネコはまんまるで、モコモコしてそうで、高いところにいるやつなんて、ころころころって転がり落ちてしまいそうで目が離せないんだ。
……鈴、怒るかな。
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