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5- 公園デビュー!(11)

……意識の外で、神崎がぶつぶつ言っている。うるさい。 「うぅ……これじゃ生殺しだよ槙野さん。酷いよー。手だけ握って寝ちゃうなんて……いっそ俺を抱き枕にしてよ……」 がさがさっと物音。 「あ、20分経っちゃった。起こさなきゃ……いや、待てよ零、前向きに考えろ。これは世間でいうところの据え膳……つまり俺に求められているのはおはようのキス……!」 「違う。独り言うるさいぞ神崎」 あれ、俺はなぜ神崎の手なんか握ってるんだ? まあいいか。よく寝た。 「ちょっと固いがいい枕だったぞ。ありがとう」 枕にしていた神崎の太ももを軽く撫でて礼を言うと、神崎は顔を赤くした。 「ま、またのご利用をお待ち……しております……」 「なんで顔赤くしてるんだよ」 「槙野さんの寝顔、綺麗でした……」 「ひとの寝顔見るなよ、恥ずかしいから」 「じ、次回はキスで起こせるように頑張りますからっ」 「そうか。次回はない」 荷物をまとめてシートを畳むと、必要なくなった物をたまひよ号にしまった。 ふむ。最初こそ子供のおもちゃみたいなカラーリングだと思ったが、見慣れてくるとそう悪くもない。 何より、駐車場で見つけやすいしな。 ……神崎に毒されてるかな。 「牧場行きましょー、槙野さん。俺、馬見たいんです」 神崎が俺の背中を軽く押して急かす。

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