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6- 縄張り争い(8)SIDE:神崎
ああ、ほっとした。
槙野さんと西嶋が恋仲でないって分かったら、肩から力が抜けた。
「槙野さん」
「ん?」
「もう二度とキスを賭けるなんてことしないでください」
「うーん。なにせ酔ってるからな、善処する」
槙野さんは自信なさげだ。
「善処じゃやだ、絶対だめ」
「駄々こねないでくれ」
そう言って槙野さんは俺の隣に座り直した。
これは甘えるチャンス!
こてんと首をかしげて槙野さんに頭を預ける。
槙野さんの指が頬を撫でる。
「すまなかったな。もう神崎を泣かせるようなことはしないから」
え?
「いや、俺泣いてないもんっ」
横目で槙野さんを見ると、槙野さんはふっと笑って俺の両目を片手で覆った。
「目が赤いし、服の袖が濡れてる。全然誤魔化せてないぞ」
「うぅ」
なんだよー、隠したのにバレてたのか。それはそれで恥ずかしい。
「俺ペットだしさ、あんまり図々しいことは言えないけどさ、」
「うん?」
槙野さんも俺の方に頭を寄せた。
えっ、えっ、なんかこれってカップルみたいじゃん。
しかもラブラブの。なにこれ、幸せすぎるんだけど、俺死ぬの?
「誰かに槙野さんを取られちゃうのはやっぱりやだ。……とか言っちゃったりして!あはっ」
わざとおどけて冗談めかしたけど、これが今の俺の本音だ。
槙野さんと一緒にいたい。
いつか槙野さんも同じこと考えてくれたら、嬉しいな。
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