68 / 128

8-わんこ卒業(8)

神崎が俺をきつく抱きしめたまま離さない。 荒く熱い吐息が耳にかかり、押し付けられた心臓は早鐘を打っている。 汗の匂いもなぜか心地よく、当然神崎のは俺の中に入ったまま。 俺はぎりぎり届く神崎の頬にそっとキスをした。 神崎がようやく動いて、俺の顔を見た。 「……」 黙って俺の目を見つめている。 「…………夢?」 ぽつりと神崎が呟いた。 「夢じゃない」 「夢でしょ?だって、俺なんかが、槙野さんと、だなんて」 こんなに物分かりの悪いやつだったか?なぜか現実を認めない。 「夢だったらどうするんだ?」 「こんなの、絶対出しちゃってるから、起きてしょんぼりする」 真顔でそんなことを言うから、思わず笑った。 「だって一瞬意識が飛ぶくらい気持ちよかったんだもん!こんな夢酷いよ!」 俺は神崎に優しくキスをした。 「夢じゃないから安心しろ」 「……ほんとに?」 「ああ」 神崎が俺を抱き直す。 「じゃあ、もっかいしてもいい?」 「……は?」 「もう一回しよ?俺まだ足りない」 そう言ってディープなキスを一つ。脳がとろけるやつ。

ともだちにシェアしよう!