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8-わんこ卒業(10)
笑顔に逆らえなかった俺は、神崎の腰を跨いで膝をついた。
「そう、そのまま腰を下ろして」
神崎に導かれるままに、ゆっくりと腰を下ろしていく。
神崎がそれに合わせて俺の後孔を探り、神崎自身と出逢えるよう、そっと位置を調節する。
先端が孔に触れて、俺はびくりと動きを止めた。
「槙野さん、入れてよ」
は、自分で入れろって?
今日が初めての俺には難易度高くないか、神崎。
しかし、神崎の顔を見ていても、微笑み返してくるばかり。
孔に熱いものがちょこちょこ触れるこの体勢も、つらい。
ついさっき、奥まで貫かれる感触を知ってしまったから。
奥が熱を欲しがって、むず痒い。
やるしかない、のか?
恐る恐る後ろに手を伸ばし、神崎のに手を添えて、腰を落としていく。
「ん、ぁぁ、あ」
入ってくる。
痛いくらいに襞を押し広げて、神崎の雄が俺を狂わせる。
もっと、もっと奥に。
乱暴なくらいでちょうどいい。
早く、早く欲しい。
ローションの滑りを借りて、一気にカリから先を呑み込んだ。
「んはっ」
どっちが呻いたのか分からない。二人ともかもしれない。
神崎が息をつめて手を伸ばし、俺の頬に触れた。
いつもは大きくてあどけなささえ湛えている神崎の目は細められて、獲物を狙う肉食獣のようにギラついていた。
鋭いその光に射ぬかれて、俺は快感すら覚える。
渇いた唇を赤い舌で舐めて神崎が口を開く。
「よくできまし……たっ!」
神崎は労いの言葉と共に、まるでご褒美のように勢いよく俺を貫いた。
いや、訂正する。まるで、じゃない。ご褒美そのものだ。
その証拠に、悦んだ俺の体は、突かれた勢いで精液を吐き出した。
続けざまに下から荒々しく貫かれて、歓楽の大波に呑み込まれそうになる。
「声くれないの?」
必死に口を閉じてよがり声を堪えていると、神崎が唇に触れて催促してきた。
首を横に振って拒否すると、肉食獣の目が鋭さを増す。
「ふぅん」
やけにあっさり退いたなと思ったら、神崎は俺の腰を両手で押さえ、奥を小刻みに突き始めた。
んあ、気持ちいい。よすぎる。
しかし意地になって声を堪える。
一瞬気が遠くなって、声の代わりに俺のモノから精液が飛んだ。
もう何回も出したからだいぶ薄くなってきている。
「声、聴きたい」
低い声で呟いたかと思うと、俺の腰を掴んだ手に力が入った。
今まで奥だと思っていたところのさらに奥。
「んっ!」
なにか踏み入ってはいけないところに神崎のが押し入ってくる。
勢いをつけて入ったかと思うと、そのままごりごりと抉るように押し付けられた。暴力的なほどの快楽が脳を犯す。
「んぁ、ぁ、ぁあっ!だ、め。や、めろっ」
限界まで背中を反らせて叫ぶ。
目の前が真っ白になって俺は気を失った。
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