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9-約束(3)SIDE:神崎

「お風呂、お先にいただきました」 リビングにいた槙野さんの後姿にぼそりとそれだけ告げて、今度は寝室に逃げ込んだ。 枕に顔を埋めて、叫び声も涙も溢れ出ないよう蓋をする。 そのままどれくらい経ったのだろう。 いつの間にか眠っていた俺は、ふと目を覚まし、すぐ隣に槙野さんがいることに気づいた。 同時に槙野さんも俺が起きた気配を感じ取ったらしい。 腕が伸びてきて、槙野さんの懐に抱きこまれた。 華奢で繊細で温かな体に包まれて、涙が落ちそうになった。 槙野さんの細い指が、俺の髪を撫でるようにゆっくり梳いている。 額に優しい口づけが落とされる。続けて瞼、鼻の頭、頬、唇へ。 俺の閉じた唇を割ってするりと入り込んだ槙野さんの舌が俺を慰める。 歯列を丁寧に愛撫して、舌同士をそっと絡め合わせる。 槙野さんのキスはいつだって優しくて誠実だ。 ああ。 単純で自分が嫌になる。 口内の熱が高まるにつれて、その気になっていく。 さっき最低の姿を見せたばかりなのに。 槙野さんが唇を離すと、俺の頭を抱いて、耳元で愛の言葉を囁く。 次第に落ち込んでいたことを忘れさせられていく。 与えられる愛撫で頭の中が塗り替えられていく。 俺は体を起こすと、槙野さんの上に跨った。

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