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9-約束(11)SIDE:神崎
そこから先は賑やかだった。
早野さんのジョークで笑い転げたり、小牧ちゃん・橘さん・西嶋に今までのことを根掘り葉掘り聞かれたり。
「前にさ、幹久と槙野くんと三人で飲みに行ったじゃん。槙野くんがモテまくって困るって話で。あの時もう付き合ってたわけ?」
「うん」
ちょっと!聞き捨てならない言葉が聞こえたんだけど!
「槙野さんそんな困るほどモテてたの?」
俺が問い詰めると、槙野さんは気まずそうに笑った。
「全部断ったからいいだろ」
「当り前です!はあぁ。俺にもちょっとは相談してくださいよぉ」
「言えるかよ。そんな話したら、神崎が何するか分からないし」
「槙野さんに24時間はりつきます」
「ほらな。そういうのを世間ではストーカーって呼ぶんだからな。覚えとけ」
笑いながら俺たちのやり取りを聞いていた橘さんが言う。
「神崎くんて見た目によらず一途なんだねー」
えっ、ちょっとどういう意味?
「俺ってどういう見た目なんですか?」
小牧ちゃんが口を開く。
「軽そう」
橘さんも続ける。
「遊んでそう」
そんなぁ!
「心外です!俺は一目見た時から槙野さん一筋ですから!」
「あっははは!意外と純情じゃん!」
女性陣にからかわれていると、ふとアイスブルーの瞳と目が合った。
「おい、神崎」
「なんですか?」
西嶋……さんが威圧的な態度で詰め寄って来た。
ふふん。もう怖いものなんてない。
相変わらずお綺麗な顔を、挑戦的な目で見下してやった。
「もし槙野を悲しませてみろ、即寝取るからな。心しておけよ」
「無駄なご心配、ありがとうございます」
残念ながら、そんな時は来ないけどね。
そんなこんなで、賑やかに浮かれた宴は終電間際まで続いた。
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