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【番外】舞踏会にはペット同伴で(6)
一人になった俺は、皿に残った食べ物を片付けると、槙野さんを探す旅に出た。
もういいよね?
だって西嶋さんは早野さんとどっか行っちゃったし。
さーて、槙野さんはどーこっかなー!
ぶらぶらしながら、たまに会う同期に声をかけつつ、会場内を一周する。
いない!槙野さんが見つからないよ!
えー?どこー?槙野さーん!
まさか、ほんとに西嶋さんと仲良くならないと、槙野さんルートのフラグ立たないやつ?
まさかねえ?
もとの場所に戻ってきた。
斜め前方に、プラチナブロンドが見える。西嶋さんだ。目立つわぁ。
あー!!!隣に槙野さんがいる!どういうこと!
慌てて駆け寄ると、西嶋さんににやにや笑いで迎えられた。
「やぁ、抜け駆け野郎。おかえり。残念だったな、抜け駆け失敗して」
「違っ、抜け駆けじゃないもん」
慌てて否定すると、槙野さんが目を細める。
「神崎?」
「や、ほんとなんです。西嶋さんと早野さんがご飯行っちゃって、俺一人じゃ寂しいなーって、同期とかと会ってただけなの!」
「そうなのか?」
「そうなの」
内心でごめんなさいをしながら、槙野さんの問いにこくんと頷くと、槙野さんは表情を緩めた。
途端に西嶋さんが苦い顔をする。
「甘い!甘いぜ槙野。これが一人じゃ寂しいって図体かよ」
「身長は関係ないと思います!!」
そこからは、避難してきた早野さんを加えて四人で喋ってた。
俺がいない間に打ち解けたのか、早野さんは西嶋さんにだいぶ砕けた口調で話してる。
「ちょっと西嶋さん、人参を俺の皿によけるのやめてくれます?」
西嶋さんが、サラダから器用に人参を選り分けて、早野さんの持つ皿に乗せてる。
「それくらい増えても食えるだろ。人参嫌いなんだよ」
「人参嫌いって小学生かあんた」
「だっておかしいだろ。植物の根のくせに、こんな毒々しい色してんだぞ。明らかに毒持ってますって警告してるだろ」
「じゃあ赤かぶも食わねぇのか」
「もちろん」
「ラディッシュは」
「表面が赤い時点でもうおかしい。食わない」
「筋が通ってるようで、言ってることはやっぱ小学生だな」
こんな感じ。
俺も加わってみる。
「西嶋さん、人参食べれないんですかぁ?ぷぷぷ」
口許を押さえて笑いをこらえる真似をしながら会話に入った。
「あぁ、食えないぞ。なんか悪いか」
ありゃ、開き直られちゃった。つまんない。
「人参だったら、槙野も食えないよな」
え?!
西嶋さんが槙野さんに視線を投げる。
「おい、ばらすなよ。俺が嫌いなのは火が通ってない人参だけだからな」
苦笑した槙野さんは人参嫌いを認めた。
「え!早く言ってくださいよぉ。俺、生の人参普通にサラダに入れてたかも」
「いや、まだ出てきてない。それに多少は食べれるから心配しなくても大丈夫だ」
よかったぁー。
そんなくだらない話をしているうちに、パーティーは幕を下ろした。
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